ストラタシス社のインクジェット式3Dプリンター(D5Dentajet)を用いて顎義歯製作を行うため、複数のデジタルマテリアルを積層造形した。続いて、造形した試料の相対密度と精度分析から、複数のデジタルマテリアルに対する最適な造形パラメーターを決定した。続いて最適パラメーターを用い、顎義歯に特有の人工歯部、栓塞子(オブチュレータ―)、レジン床部の色調や形状、機械的性質を再現した。オブチュレータ―部分は、透明色で軟質性の材料を複数組み合わせて強度の調整を行い、人工歯部では、従来用いられてきたRGD835VeroWhiteに加えてR245、G230、B212色を組み合わせることで歯科特有のA3やA2といった色調を再現することが可能となった。部位に応じて様々な材料の比率を細かくオーダーすることで、各構成要素の境界部も細かくオーダーし、鮮明に同時造形することが可能となった。実際の義歯に則した形態のSTLファイルを製作後、積層造形を行い、審美性に問題ないことを確認した。今後、設計時のデータと最適重ね合わせによる評価で精度検証を行う予定である。続いて異種材料境界部における精査を行った。人工歯部とレジン床部の境界部におけるサーマルサイクル後のせん断試験を行い、材料の接着強度の評価を行った。サーマルサイクルを行ってもインクジェット式3Dプリンターで製作した試料はほとんど劣化しないことが明らかとなった。
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