研究課題
EBV陽性T, NK細胞腫瘍である慢性活動性EBウイルス感染症 (CAEBV) は治療抵抗性を示し、病態解明および新規治療法の開発が望まれている。EBVゲノム上にはマイクロRNAであるmiR-BARTsをコードする遺伝子が存在し、腫瘍進展への寄与が示唆される。本課題では、miR-BARTsに着目したCAEBVの発症機序解明および治療法の開発を行う。CAEBV由来細胞株および患者のEBV感染細胞におけるEBV由来マイクロRNAの発現を次世代シーケンサー(NGS)で解析し、miR-BARTsの発現プロファイルをすでに明らかにしていた。40種類あるmiR-BARTsの内、miR-BART7-3pが突出して高発現していた。miR-BART7-3pに対するin situハイブリダイゼーション法により、患者組織におけるmiR-BARTs陽性像を得た。そこで、miR-BART7-3pの機能を明らかにするため、miR-BART7-3p-inhibitor oligoをEBV陽性T, NK細胞株に遺伝子導入し、NGSによって変動遺伝子を抽出することで、その機能を明らかにした。本解析結果について、第64回米国血液学会にて筆頭演者として発表を行った。現在、論文の投稿準備中である。次年度以降は、腫瘍細胞から分泌されたmiR-BARTsが傍腫瘍細胞に及ぼす効果についてさらに検討を進める。miR-BARTsを標的とした新規治療薬開発として、2021年12月に特許出願した「EBV関連疾患を標的とする核酸医薬」(特願2021-211802)について、2022年12月にPCT出願(PCT/JP2022/ 48097)を行った(共同出願)。本技術をさらに改良し、CAEBVモデルマウスを用いて有効性および安全性を評価する。CAEBVの病態解明および治療薬開発を進めてゆく。
1: 当初の計画以上に進展している
CAEBVにおけるmiR-BARTsの発現プロファイル解析を行い、40種類あるmiR-BARTsの機能の一端を明らかにした。本解析結果について、令和6年度に予定していた米国血液学会での研究報告を前倒しで実施した。
研究計画に則り実行する。分泌型miR-BARTsの発現プロファイルをもとに、「分泌型miR-BARTsの標的細胞における作用解析」を行う。さらに、CAEBVモデルマウスを用いて、miR-BARTsを標的とする新規治療薬の開発に注力する。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Frontiers in Microbiology
巻: 13 ページ: 874998
10.3389/fmicb.2022.874998
Frontiers in Virology
巻: 2 ページ: 999929
10.3389/fviro.2022.999929