研究実績の概要 |
本研究の目的は、20 世紀後半の南アフリカにおける人種隔離を基礎としたアフリカ人統治政策(アパルトヘ イト)と同政策への抵抗運動における歴史の政治的利用を検討し、現在まで続く歴史観をめぐる対立 の形成過程を明らかにすることである。 研究初年度にあたる2021年度は、先行研究の整理・日本国内で手に入る史料の分析を行なった。以上の作業に基づいて、オンラインでの研究集会・学会で報告を行なった。しかし、予定していた海外での調査は実施することができなかったため、繰越を行った。 2022年度には、2021年度分の資金を使って、当初予定していたイギリスでの史料調査を実施することができた。具体的には、British Library, National Archives, London School of Economics, University of Reading, University of Oxfordでの調査である。集めた史料の内容は、南アフリカで活動を行なった宣教師・人類学者に関する史料、ズールー人知識人の講演、ナタール植民地におけるアフリカ人統治政策、アフリカ文学関連の出版史、人道主義団体関連史料など多岐にわたる。収集した史料は、南アフリカでの学会報告原稿の作成の際に活用した。
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