研究課題/領域番号 |
22KJ1215
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
上林 朋広 甲南大学, 文学部, 講師
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2026-03-31
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キーワード | ズールー語 / 歴史叙述 / トランスナショナル・ヒストリー / 南アフリカ / 歴史学 / アフリカ文学 / ラジオ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、20 世紀後半の南アフリカにおける人種隔離を基礎としたアフリカ人統治政策(アパルトヘイト)と同政策への抵抗運動における歴史の政治的利用を検討し、現在まで続く歴史観をめぐる対立の形成を明らかにすることである。 研究3年目にあたる2023年度は、甲南大学英語英米文学科に就職したため時間的な制約が厳しくなったが、アメリカ合衆国、イギリス、及び南アフリカで史料調査を実施した。具体的には、ラドクリフ高等研究所、ブリティッシュ・ライブラリー, ヴィットヴァータースラント大学、クワズールーナタール大学キリー・キャンベル図書館で史料調査を行った。また日本国内の学会・研究会及び国際的なオンラインでの研究集会に参加することで、国内外の研究者に研究成果を報告することができた。 具体的な成果としては、ナタール植民地のアフリカ人統治政策が南アフリカ連邦全体の人種隔離政策に与えた影響を検討した論考を、「模倣すべき「過 去」:南アフリカ・ナタール植民地における武装蜂起と人種隔離政策の形成」佐川・竹沢・松本編著『歴史が生みだす紛争、紛争が生みだす歴史:現代アフリカ における暴力と和解』として発表した。さらに、ポストアパルトヘイト時代の南アフリカにおける歴史研究の 動向をまとめた論考は、雑誌『歴史評論』の2024年7月号に掲載予定である。またズールー語教科書を中心とした南アフリカにおける歴史叙述に関する研究成果として、2024年度中に単著を出版する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
専任講師として着任したため授業準備や学内の会議に時間を割く必要が生じたが、概ね予定通り調査を実施することができ、また調査に基づいた研究報告を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、収集した史料の分析を行いつつ、前年度に行なった研究会での報告時のペーパーに加筆・修正を施し、学術誌への投稿論文として完成させる予定である。また史料の分析に基づいて新たな学会報告を行う予定である。報告ペーパー及び論文執筆時にその必要性が明らかになった資料に関しては、随時収集し、分析を行なっていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
39,189円の次年度使用額が生じたが、これは次年度分と合わせた方が有効活用できると考えたためである。具体的には、国内旅費で使用する計画である。
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