研究課題/領域番号 |
21J22822
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
朝田 晴美 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | メタサーフェス / メタマテリアル / 極限屈折率材料 / 赤外域 / テラヘルツ波帯 |
研究実績の概要 |
メタサーフェスは、波長よりも小さなメタアトムを周期的に多数配置した構造の人工構造材料である。メタアトムの材料、形状、寸法を設計することで、屈折率や反射率などの光学特性を任意の値に制御できる。誘電体基板の表と裏の両面に金属パッチを配置したメタアトムにより、比誘電率と比透磁率を制御して同周波数で高値かつ同値に近づけることで、高屈折率・無反射なメタサーフェスを実現できる。高屈折率・無反射なメタサーフェスは、光源に搭載して指向性を制御するための薄型で平面な構造のレンズ(メタレンズ)へ応用できる。 1年目は、赤外域の50THz帯で高屈折率・無反射なメタサーフェスの作製、実験評価を中心に進めた。電子ビームリソグラフィで、厚さ100nmのSiNxメンブレンの表と裏の両面に、1辺の長さ1200nmの正方形Auパッチを200nm周期で1780×1780個作製した。SiNxメンブレンの表面からの電子ビーム照射で、表と裏の両面を同時に露光するという新たな露光方法を用いた。フーリエ変換赤外分光計で、作製したメタサーフェスの30~70THzでの反射率と透過率を測定した。反射率と透過率の実験結果は、電磁界シミュレータによる解析結果とよく一致した。実験結果より、50THz付近で反射率が極小となる共振を有することから、50THz付近で磁性の共振が生じることを間接的に確認した。研究成果は、2021年11月のテラヘルツ科学の最先端VIIIおよび2022年3月の応用物理学会春季学術講演会で報告した。テラヘルツ科学の最先端VIII優秀学生発表賞、東京農工大学学生表彰を受賞した。 また、昨年からジャーナル論文化を進めていた、テラヘルツ波帯の3THz帯で高屈折率・無反射なメタサーフェスの研究成果について、米国光学会論文誌Optics Expressで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3THz帯高屈折率・無反射なメタサーフェスのジャーナル論文発表、50THz帯高屈折率・無反射なメタサーフェスの作製および実験評価を完了したため。作製では、SiNxメンブレンの表面側からの電子ビーム照射で表と裏の両面を同時に露光する方法を用いて、厚さ100nmの極薄のSiNxメンブレンの表と裏の両面に、1辺の長さ1200nmの微細な正方形Auパッチを周期的に配置した構造を実現した。実験評価では、フーリエ変換赤外分光計による反射率と透過率の実験結果から、作製したメタサーフェスが設計した高屈折率・無反射特性を有することを間接的に確認した。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、1年目で作製、実験評価した50THz帯高屈折率・無反射なメタサーフェスのジャーナル論文化を進める。並行して、50THz帯の熱輻射の指向性を制御する素子の設計、作製、実験評価も進めていく。SiNxメンブレンの表と裏の両面に正方形Auパッチを周期的に配置した構造をもとに素子を設計する。
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