研究課題
本研究では、申請者が開発したイヌ膀胱がんオルガノイドの2.5D細胞を用いて3Dオルガノイドおよび細胞株との違いを分子レベルで多角的に解析する。2.5Dオルガノイド培養細胞の性状を明らかにし、培養法の改良および様々な初代培養細胞への応用に向けた知見を得ることを目的とする。本年度はイヌおよび猫の様々な2.5Dオルガノイド培養法を確立し、各腫瘍の細胞マーカー発現が確認され、伴侶動物の抗がん剤感受性を事前に予測するツールとしての有用性を明らかにした。また、免疫不全マウスへの2.5Dオルガノイド細胞の移植によって腫瘍再形成能を示した。現在、各オルガノイドのプロテオミクス解析を行い、3Dオルガノイドとの比較を行っている。さらに、2.5Dオルガノイドにおけるタンパク発現の解析を行い、各経路のキーとなる遺伝子のノックダウンによる細胞増殖能、遊走能、各細胞シグナル経路の活性化、腫瘍形成能、および抗がん剤感受性への影響を検討する。また、血球系腫瘍に対する2.5Dオルガノイド培養法の有用性を明らかにするとともに、2.5Dオルガノイド細胞を用いて獣医療で利用可能な新規分子標的薬の探索を行う。
2: おおむね順調に進展している
昨年度は主に下記の項目の実験に進捗がみられた。腫瘍組織由来2.5Dオルガノイド培養法の確立: これまでに確立した2.5Dオルガノイド培養法用いて様々な犬猫の腫瘍組織の培養を試みた。犬の乳腺がんや、膀胱癌、猫の乳がん、肺がんなどの培養効率が従来の培養液に比べて高まることが明らかになり、マウスへの腫瘍再形成能も観察された(Amira et al., Biomedicine & Pharmacotherapy, 2022)。
今年度は、各オルガノイドのプロテオミクス解析を行い、3Dオルガノイドとの比較を行っている。さらに、2.5Dオルガノイドにおけるタンパク発現の解析を行い、各経路のキーとなる遺伝子のノックダウンによる細胞増殖能、遊走能、各細胞シグナル経路の活性化、腫瘍形成能、および抗がん剤感受性への影響を検討する。また、血球系腫瘍に対する2.5Dオルガノイド培養法の有用性を明らかにするとともに、2.5Dオルガノイド細胞を用いて獣医療で利用可能な新規分子標的薬の探索を行う。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Biomedicine & Pharmacotherapy
巻: 87 ページ: 113597
10.1016/j.biopha.2022.113597