研究実績の概要 |
本年度は,「光弾性法を利用した基板内応力場測定法の確立」,「液滴-基板の動的相互作用を考慮し最大半径と基板内応力を予測する理論モデルを構築」に取り組んだ.前者に関して,まず,光弾性法によって実験的に得られる偏光の位相差と方位の情報について,応力場の解析解から予測される位相差・方位分布と比較検証を行った.その結果,実験値と理論値の良い一致が得られ,これまで未検証であった大変形を伴う軟質材料に対しても光弾性法の理論が適用可能であることを示した.この成果は国際共著論文として国際学会誌(Yokoyama et al., Opt. Lasers Eng., 2023,Mitchell and Yokoyama et al., J Mech. Phys. Solids., 2023)で発表した.また,計測した位相差・方位角のデータから基板内応力場を再構成するトモグラフィー手法の構築にも成功した.この成果は,国内・国外学会(日本実験力学会2022年度年次講演会,アメリカ物理学会流体力学部門2022,他1件)で発表し,現在,国際学会誌への投稿に向けて筆中である.後者に関して,基板の材質や液滴物性を変更した実験を行い,発生する応力場の特徴について調査した.また,令和5年度に実施予定の「バイオインクに近い液滴(模擬バイオインク)の衝突挙動の調査」を一部先行し,粒子入り懸濁液の液滴衝突実験や,ハイドロゲルビーズの生成に関して実験環境の整備と予備実験を行った.
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