研究実績の概要 |
ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)ジス ルフィド(BiTEMPS)骨格は加熱するだけでラジカル的に開裂し、発生したラジカルを介して結合交換反応を引き起こす。本研究では、BiTEMPS骨格で連結された動的な大環状分子 (MM) を用いた『空間連結型の高分子』の合成方法を確立することを目的に研究を行っている。2021年度は、MM中に超分子相互作用部位としてナフタレンジイミド骨格とアルコキシナフタレン骨格を導入し、それらの相互作用を駆動力とした環状高分子と環状高分子が空間的に連結した高分子 (MICP) の合成を試みた。合成したモノマーの超分子相互作用について、UV-visスペクトルやプロトンNMRから確認した。それらMMの重合系中において超分子相互作用を最大限高める条件として、バルク重合に着目した。今までの研究で、得られたMMは結晶性が高く常温で固体であったため、高温条件でもバルク重合が進行しなかった。そこで、バルク重合可能な液状の大環状モノマーを新しく開発しそれらMMの重合の挙動およびその生成物をレオメーターやGPCで分析した。その結果、MICPの生成を示唆する結果が得られたため「BiTEMPS含有大環状分子に超分子相互作用導入することでMICPを加熱のみで得る」というコンセプトが実証された。すでにこの成果について論文を執筆し、論文はMacromolecules誌に掲載された。
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