研究課題
まずsingle chain Fv (scFv)型Q-bodyの蛍光応答が酵母表面で再現しないことを受け、新たにヘテロタンデムナノ抗体を用いたQ-bodyの構築とランダムなトリプトファン残基挿入によるQ-body応答の向上を試みた。その結果、新たに親抗体としたHSA認識ナノ抗体(Nb.b201)について、トリプトファン残基を複数含む変異体を獲得し、さらにNb.b201とヘテロタンデムとなるナノ抗体のペアを見つけることに成功した。次にカルフォルニア大学アーバイン校Liu准教授の研究室にて、細胞内で持続的なランダム変異導入を行える酵母「AHEAD」を用いたQ-bodyの新規分子進化技術の開発に取り組んだ。その結果、AHEAD酵母の表面においてもQ-body化が可能であることが示された。一方で初年度に得られたトリプトファン変異を含む2種のナノ抗体(コルチゾール認識、ヒト血清アルブミン(HSA)認識)をモデルとしてクエンチ能で選択を試みた結果、3回のサイクルを回してもクエンチ能の向上は起こらなかった。さらに、Nb.b201がトリプトファン変異導入なしに2倍程度のクエンチを示したことを受け、そのNb.b201が取得された人工ナノ抗体ライブラリを用い、クエンチを示す抗体の網羅的解析を試みた。その結果、強いクエンチを示す抗体の濃縮が確認された。
2: おおむね順調に進展している
本年度に想定していた、scFvまたはFab断片を材料としたQ-bodyへの拡張は達成できなかったが、そのバックアップとしてナノ抗体のタンデム化に取り組み、これに成功した。さらに合成生物学的な手法の活用やクエンチ能の網羅的な解析によって、Q-bodyの分子進化法の効率化も達成しつつある。また学会発表については国内3件と予定通り参加することができ、論文発表については共著者として2報とこちらも予定通り出版できている。
合成生物学的な手法の活用やクエンチ能の網羅的な解析に注力することで、Q-bodyの分子進化法の効率化も達成し、SARS-CoV-2を認識するナノ抗体を使った新規のQ-bodyの構築を目指す。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
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