研究課題/領域番号 |
21J21969
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
村松 達也 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | メカノフォア / 超分子化学 / 刺激応答性材料 |
研究実績の概要 |
蛍光団を有する環状ホスト分子では、金属イオンの包含・放出に伴って発光特性が変化する。本研究では、環状ホスト分子に機械的刺激を印加することで、金属イオンの包含・放出を制御し、発光特性変化を誘起させる新たな超分子メカノフォアの開発と、その機械的刺激に対する発光挙動の評価を目的としている。 当研究室では、ロタキサンやシクロファンを用いた超分子メカノフォアを開発しており、その機械的刺激に対する発光挙動を精査するためのホストポリマーとして、ポリウレタンエラストマーを使用していた。しかし、環状ホスト型の超分子メカノフォアの特性を評価することに適していないことが示唆された。そこで本年度は、ポリアクリレートやナノコンポジットゲルなど、ポリウレタン以外の様々なポリマー材料の合成方法を調査し、超分子メカノフォアの導入方法を検討した。また、それらのポリマーにロタキサン型超分子メカノフォアを導入し、超分子メカノフォアの特性を評価できるかどうかを調査した。 また、スイス政府主催の留学支援プログラム(Young Researcher’s Exchange Program between Japan And Switzerkand 2021)に採用されたため、当研究室が密接に共同研究を行っているC. Weder教授の研究室に2022年1月から3か月間滞在した。本プログラムでは、ポリマーの合成法やその評価法について学び、さらに当研究室とC. Weder教授の研究室がそれぞれ開発してきた超分子メカノフォアを導入したポリマー材料の機械的刺激に対する発光挙動を評価することで、超分子メカノフォアに関する新たな知見を得ることができた。今後、本共同研究に関する研究成果を学術論文へ投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、環状ホスト分子を用いた超分子メカノフォアの機械的刺激に対する発光挙動を精査するために必要なホストポリマーの合成法について検討した。この検討において、ロタキサン型超分子メカノフォアを用いることで、超分子メカノフォアの導入方法を確立できた。また、スイスのC. Weder教授との共同研究を通して、高分子材料に関する知識と超分子メカノフォアに関する更なる知見を得られた。その一方で、本研究の主題である環状ホスト分子型のメカノフォアの合成や、原子間力顕微鏡と全反射照明顕微鏡を用いた超分子メカノフォアの一分子レベルでの挙動の解析にはあまり時間を割くことができず、難航している。以上の理由から「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き、環状ホスト分子型のメカノフォアの合成を続ける。この研究に並行して、原子間力顕微鏡と全反射照明顕微鏡を同時に用いて、超分子メカノフォアの発光特性変化を誘起するために必要な力を一分子レベルで解析する手法を確立する。
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