大型ヘリカル装置(LHD)に設置された輻射計測装置の赤外線イメージングビデオボロメーター(IRVB)と抵抗性ボロメーター(RB)が計測する輻射データから、3次元放射率分布の再構成を行うためのトモグラフィー開発を行った。中性粒子・不純物輸送シミュレーションコードEMC3-EIRENE(E3E)で用いられている計算グリッドを利用してトモグラフィーのためのメッシュグリッドを構築し、3次元トモグラフィーに有利な解を得やすくなるようにした。
トモグラフィーにおける解の正則化方法として最小Fisher法とそれを修正した3次元RGS(3-D Relative Gradients Smoothing)法を利用した。両者はメッシュ間における解の滑らかさを勾配計算等を行うことで担保する手法であるが、メッシュグリッドが単純な直交座標ではなく曲線座標系で表されるものであるため、その改良を両者に施した。これにより、任意の座標系における両者の正則化法の適応が可能となった。
開発したトモグラフィーの精度を確認するために、3つの仮想放射率分布を用いた。それぞれ、1. ホロー分布(中心に放射がなく軸対称な分布)、2. 中心ピークガウシアン分布(ポロイダルに変化はなく、トロイダル方向に変化する分布)、3. E3E分布(E3Eによって計算された分布)である。それぞれにおいて3-D RGS法の優位性を相対誤差、負の放射量の小ささから見出すことができただけでなく、先行研究と比べて大幅な計測チャンネル数の減少にも関わらずより多くのボクセル(メッシュ数)を持つ分布を再構成することができた。これはLHDだけでなく他の装置においても適応可能な手法であり、汎用的な3次元トモグラフィーが確立された。
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