研究課題/領域番号 |
21J20254
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
南條 壮汰 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 脈動オーロラ / デジタルカメラ / 光学観測 |
研究実績の概要 |
過去の研究において、脈動オーロラを発光させる電子(オーロラ電子)のエネルギーは、ON phase や朝側の領域で高くなることが知られているが、ISS からデジタルカメラで撮影した脈動オーロラの青色と緑色の比(B/G ratio)も同様の傾向を示す(ON phase や朝側の領域で相対的に高くなる)ことを見出し、これが降下電子エネルギーの増加によるものである可能性を示した査読付き論文を公表した。本研究の目的は、B/G ratio がオーロラ電子のエネルギーを定性的に反映することを示すだけでなく、定量的な対応関係を明らかにすることである。定量的な関係を調査するためには、地上の大気レーダーとデジタルカメラを用いた脈動オーロラの同時観測事例を解析する必要があるが、昨年度は新型コロナ禍の渡航制限により、ノルウェー・トロムソでの観測実験を開始することができなかった。そのため、予定を変更し別の目的でトロムソにおいて運用されているデジカメ画像から、機械学習を用いてオーロラの発生を自動検出し通知するウェブアプリケーションを作成した(https://tromsoe-ai.cei.uec.ac.jp/)。このサービスに関する研究発表を国内外の学会で行い、成果をまとめた論文を学術雑誌へ投稿した。このアプリケーションを用いれば、今年度開始予定の同時観測実験を、オーロラの発生時のみ行うワークフローが実現できるため、計算機資源や消費電力の削減に繋がる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度からノルウェー・トロムソにおける地上実験を開始する予定であったが、渡航制限により実現できなかったため従来の計画より遅れている。しかしながら、地上実験を効率的に行うためのアプリケーションを開発したため、渡航後は比較的短時間で安定した定常観測を行えるものと見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ノルウェーにおいてオーロラが観測され始める秋の早い段階で渡航し、観測器(デジタルカメラと制御用 PC)を現地に導入する。11 月までに安定した定常観測を実現し、EISCAT レーダーとの同時観測を行う。EISCAT レーダーが測定した電子密度の高度プロファイルを CARD 法を用いて降下電子エネルギーへ変換する。この値と B/G ratio を比較することで、B/G ratio から降下電子エネルギーを導出する関数を経験的に求める。得られた関数を ISS からの観測へ適用し、広い視野における降下電子エネルギーの空間マップを作成し、検証する。成果がまとまり次第、国内外の学会における発表、学術雑誌への投稿を随時行う予定である。
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