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2022 年度 実績報告書

定数長乱数を用いた秘密計算の理論構築

研究課題

研究課題/領域番号 22J10137
配分区分補助金
研究機関電気通信大学

研究代表者

安部 芳紀  電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2024-03-31
キーワード秘密計算 / 乱数長
研究実績の概要

本研究の目的は,一般的な計算モデル(プレーンモデル)において乱数を定数長に限定した状態で計算可能な関数クラスや達成可能な安全性を明らかにすることである.そのために,強い物理的仮定に基づく計算モデル(スタックモデル)における乱数を使用しない秘密計算プロトコルを,定数長の乱数を追加しつつ,プレーンモデルにおける秘密計算プロトコルに変換することを目指している.
そこで,本年度は,物理的仮定と乱数との関係を解明し,どのように乱数を追加すれば変換が可能になるかを明らかにすることを目的として,乱数を使用しない代わりに物理的仮定に基づく秘密計算プロトコルである,カードを用いるプロトコル(カードベース暗号)とスタックモデルにおけるプロトコル(private PEZプロトコル)の効率化に関して研究を行った.
カードベース暗号に関して,効率の指標であるカード操作回数や通信回数が入力数に関して線形なプロトコルの中で,カード枚数がn枚未満で実行可能な初めてのn入力多数決プロトコルを提案した.この成果は査読付き国際論文誌IEICE Transactions on Fundamentalsに採録されている.また,秘匿和集合プロトコルをカードベース暗号で初めて提案した.この成果は国内会議コンピュータセキュリティシンポジウム2022(CSS2022)で発表し,CSS2022優秀論文賞を受賞した.さらに,秘匿置換と呼ばれる操作を用いるカードベース暗号で,トランプを用いて実行可能でカード枚数が効率的なプロトコルを提案した.この成果は国内会議2023年暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2023)で発表した.
また,private PEZプロトコルに関して,m値n入力関数を計算するプロトコルの効率の漸近評価を行い,国内会議2023年暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2023)で発表した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

スタックモデルにおける乱数を使用しない秘密計算プロトコルを,定数長の乱数を追加しつつ,プレーンモデルにおける秘密計算プロトコルに変換するために,乱数を使用しない代わりに物理的仮定に基づく秘密計算プロトコルである,カードベース暗号とprivate PEZプロトコルの効率化に関して研究を行った.具体的には,カードベース暗号では多数決プロトコルや秘匿和集合プロトコルを提案し,private PEZプロトコルではm値n入力関数を計算するプロトコルの効率の評価を行った.これらのプロトコルの研究を通じて,物理的仮定が果たす役割について理解を進めることができ,プレーンモデルにおけるプロトコルへの変換を行うにあたっての知見を得ることができたため,おおむね順調に進展していると判断した.

今後の研究の推進方策

本年度の成果を踏まえつつ,当初の計画に従い,スタックモデルにおけるプロトコルをプレーンモデルにおけるプロトコルへの変換を目指す.また,本年度に得られた成果の完成度を上げ,査読付き国際会議・学術雑誌に投稿する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 高機能暗号の社会展開を促進する物理・視覚暗号2023

    • 著者名/発表者名
      花岡悟一郎, 岩本貢, 渡邉洋平, 水木敬明, 安部芳紀, 品川和雅, 新井美音, 矢内直人
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌 A

      巻: J106-A(8) ページ: -

    • DOI

      10.14923/transfunj.2022JAI0002

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A Computationally Efficient Card-Based Majority Voting Protocol with Fewer Cards in the Private Model2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshiki Abe, Takeshi Nakai, Yohei Watanabe, Mitsugu Iwamoto, Kazuo Ohta
    • 雑誌名

      IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences

      巻: E106-A(3) ページ: 315,324

    • DOI

      10.1587/transfun.2022cip0021

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] m値n入力関数を計算するprivate PEZプロトコルの初期文字列長の漸近評価2023

    • 著者名/発表者名
      安部芳紀,岩本貢,太田和夫
    • 学会等名
      2023年 暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2023)
  • [学会発表] 秘匿置換を用いたトランプベース秘密計算プロトコルの提案2023

    • 著者名/発表者名
      岩成慶太,小野知樹,安部芳紀,中井雄士,渡邉洋平,岩本貢
    • 学会等名
      2023年 暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2023)
  • [学会発表] カードを用いた秘匿和集合プロトコル2022

    • 著者名/発表者名
      土井アナスタシヤ,小野知樹,安部芳紀,渡邉洋平,岩本貢
    • 学会等名
      コンピュータセキュリティシンポジウム2022(CSS2022)

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公開日: 2023-12-25  

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