研究実績の概要 |
研究① 非競争的リーダー選択と動機づけ 近年のリーダーシップ研究では、集団内で権力を行使できる立場にいる人物としてのリーダーが、どのようなときにその権力を利他的あるいは利己的に使用するのかといった視点から検討がなされている(周囲に対する責任感 vs. 自己利益のための機会; e.g., Scholl et al., 2018)。日本社会においては年功序列的なリーダー選択が優勢であると同時に、そうした年功者の責任感が強調されることを鑑み、(成果主義と比して)非競争的な年功序列ベースで選ばれたリーダーは周囲への責任を感じる、という仮説を検討した。日米で管理職者を対象としたオンライン調査を実施した結果、年功序列の責任感に対する正の影響は日本でのみ確認された。この結果を受け、日本における年功序列による正の効果の源泉をその非競争性とは異なる側面に求める研究②を着想するに至った。
研究② Implicit coordination 尺度の作成と妥当性の検証 研究①では、権力者としてのリーダーが自身の持つ権力についてどのように解釈しているのかに注目した。しかしながら、こうしたアプローチでは権力そのものが何を反映しているのか(e.g., リーダー個人が所有するリソースを背景にした支配力、集団全体を統率する役割としての影響力)には触れられていない。そして、特に責任感と密接に関連していると考えられる社会的役割としてのリーダーの在り方は、集団内における互いの役割が高度に結晶化されているような集団において顕著であると推測される。こうした仮説を検討するにあたって「密な連携」の程度を測定するための指標が存在しなかったため、本研究では 11 項目からなる implicit coordination 尺度を作成し、働く人々を対象とした日米オンライン調査を2つ実施してその妥当性を確認した。
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