研究課題/領域番号 |
21J20641
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
地主 純子 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 決算短信 / 情報開示 / ディスクロージャー / 株価反応 / 株式市場 |
研究実績の概要 |
2021年度の主な成果として論文を2本公表した。一つ目の研究は、企業が公開する情報の中で、決算短信は相対的にどれほど重要な情報源であるかを測定するものである。決算短信を業績予想の改訂、アナリスト予想、四半期報告書、適時開示書類、金融商品取引法による開示書類と比較することで、決算短信が最も日本の株式市場へインパクトを与える情報源であることを明らかにした。日本におけるこのような包括的な分析は本研究が初めてである。本研究の結果は、昨今議論されている四半期開示制度の見直しや、四半期決算短信への一本化、非財務情報の拡充に対してインプリケーションを与えるものとなっている。 二つ目の研究では、決算短信公表日の株価反応が2000年以降に上昇していることを明らかにした。このことは、決算短信公表日に公開される情報に、株価を動かすような情報が2000年以降より含まれていることを示唆する。また、決算短信公表日に同時に公開される決算説明会資料等ではなく、決算短信に対する株価反応が上昇していることを示唆する結果が得られた。したがって、2000年以降決算短信の重要性が高まっていると解釈可能である。 上記のように、2021年度は他の情報と比較して決算短信が重要な情報であること、特に2000年以降その重要性が増している可能性があることを明らかにした。このような結果は、企業の情報開示負担が強まる中、日本の株式市場において最もインパクトのある情報は何かを検討する際に貢献するものと思われる。なお、2021年度実施した2つの研究は『産業経理』と『証券アナリストジャーナル』へ掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題である「企業の開示情報と資本市場に関する実証分析」をテーマとした研究を2つ行い、論文雑誌において公表したため、「おおむね順調に進展している」と評価した。その他にも、2度の学会報告や、2022年度行う研究の準備も進めており、おおむね計画通り実施している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、テーマである「企業の開示情報と資本市場に関する実証分析」の内、「企業の開示情報」に注目して研究を進めてきた。今後の研究方針としては、「資本市場」特に「株式市場」に焦点を当てて研究を進めていく予定である。具体的には、日本銀行の上場投資信託(etf)の買入や、高頻度取引及びアルゴリズム取引を行う投資家と企業情報をテーマに研究を進める予定である。
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