研究課題/領域番号 |
22J10575
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
谷 京 一橋大学, 大学院法学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 日韓国交正常化交渉 / 基本関係交渉 / 日本経済再建構想 / 日韓通商交渉 |
研究実績の概要 |
2022年度は、日本政府が朝鮮半島の分断体制に対していかなる政策を構想していたのか、そしてその構想が日韓国交正常化交渉の展開にどのような影響を与えたのかという問題を明らかにするべく、史料調査をはじめとする基礎的なリサーチに取り組んだ。具体的には、(1)日本外交史・東アジア国際関係史に関する文献を幅広く検討し、研究計画の精緻化を図った。(2)国立国会図書館関西館アジア情報室において、『労働新聞』をはじめとする関連資料を収集した。 また、当初の想定よりも研究の進展が良好で、2022年度中に学会・研究会報告3件、学術誌への投稿論文2本を公表できた。すなわち、(1)敗戦直後の日本経済再建構想における朝鮮半島の位置づけ、および占領期における日韓通商交渉の展開過程と歴史的意義を検討した論文「戦後日本の経済再建構想と日韓通商交渉:旧植民地との経済関係の再構築という視角から」が『朝鮮史研究会論文集』に掲載された。同論文の内容については、同時代史学会2022年度大会でも口頭発表を行い、日本近現代史の研究者からフィードバックを受けた。(2)日韓国交正常化交渉において、日本政府が韓国政府の管轄権を朝鮮南部に限定する見解に至った経緯を明らかにした論文「戦後日本の『二つの朝鮮』政策の形成過程:第1次日韓国交正常化交渉の前後における外務省内の議論に注目して」が『現代韓国朝鮮研究』に掲載された。同論文の内容については、アジア政経学会2022年度秋季大会でも口頭発表を行い、日韓関係史の研究者からフィードバックを受けた。(3)1950年代後半から1960年代前半における日朝貿易の史的展開と歴史的意義について、学内研究会(GGRブラウンバッグランチセミナー)で講演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の研究計画では、先行研究の検討や史料調査を主軸に置いていた。実際には、これらの基礎的なリサーチに加えて、学会発表および投稿論文というかたちで、複数の研究成果を公表できた。この点では、研究は当初の想定以上に進展したといえる。ただし、2022年度は新型コロナウイルスの感染状況が不確定要素として残存した結果、研究計画で予定していた韓国での資料収集は実行できなかった。上記の状況を総合的に勘案して、研究計画はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究目標は、これまでの研究成果を引き継ぎつつ、本研究課題の集大成となる研究成果を公表することである。具体的には、日韓国交正常化交渉の基本関係交渉や1950年代半ば以降の日朝経済関係に関する分析を進め、戦後日本の対「朝鮮半島」政策に関する包括的な研究に取り組む。 上記の研究目標を達成するため、今後の研究計画を次のように策定する。(1)日韓・日朝関係に関する先行研究をあらためて検討し、本研究課題の位置づけや独自性をさらに明確化する。(2)日韓国交正常化交渉に関する外交文書の収集・分析に取り組む。日本側外交文書については、「日韓会談文書情報公開アーカイブズ」による簡便な利用が可能である。韓国側外交文書については、2週間程度の現地調査を実施し、外交部外交史料館や国会図書館、国立中央図書館での資料収集に努める。(3)1950年代後半から1960年代前半における日朝貿易の実態解明のため、国立国会図書館関西館において『労働新聞』をはじめとする関係資料の収集に取り組む。(4)日韓次世代学術フォーラムや国際政治学会に参加し、韓国の研究者との意見交換を図る。(5)上記の研究内容を学会発表や投稿論文にまとめ、研究成果の公表を目指す。
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