研究課題/領域番号 |
22KJ1387
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
縄田 寛希 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | ショートターミズム / 四半期財務報告 / 利益調整 / 会計情報 / 利益分布 / 時間的視野 / アナリスト予想 / 経営者予想 |
研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度に国内査読誌へ投稿した論文の査読対応にあたって、引き続き黒字や増益などの閾値前後での利益分布の連続性を検証するBurgstahler and Dichev (1997)の利益分布アプローチを用いて、日本企業の経営者が実施する赤字回避のための利益調整におけるベンチマーク設定の時間的視野を検証する研究を実施した。この投稿論文は、日本企業では年次利益における赤字回避を目的とした利益調整が積極的に行われている一方で、第4四半期利益における赤字回避は重視されていないことを指摘しており、日本企業の四半期財務情報開示には年次利益の開示後も経営者の裁量的行動を明らかにするうえで重要な情報である可能性を提示するものである。なお、この投稿論文は2023年度に証券アナリストジャーナルにアクセプトされ、2024年度5月号として掲載予定である。 また、2022年度における「今後の研究の推進方策」にしたがい、日本のアナリストおよび経営者予想の役割について理解を深めるために、両予想情報のパフォーマンスを左右する要素について検証を行った。これらの結果について、日本会計研究学会第82回全国大会、日本経済会計学会第4回秋季大会、32nd Asian-Pacific Conference on International Accounting Issuesにて報告を行っている。 これに付随してアナリストのカバレッジ決定の要因や、経営者予想利益とアナリスト予想利益に含まれる将来情報の違いについて研究を進め、2023年度8月、2024年度4月にそれぞれ掲載済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、経営者の利益調整における時間的視野を検証した投稿論文が国内査読誌にアクセプトされ、2024年度5月号として掲載予定である。また、2022年度に設定した「今後の研究の推進方策」にしたがって研究を進め、すでにいくつかの成果物を公表済みである。したがって、研究はおおむね順調に進展したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
機会主義的な経営者は自社の業績が悪い場合に、利益調整によって利益を増加させる以外に、多くの企業が決算発表を行い投資家が情報のオーバーロードを引き起こしているタイミングで決算発表を行うことで、市場におけるショックを軽減しようとする。このような経営者の機会主義的行動に対して、アナリストがどのように反応しているのか、あるいは、重要な利益ベンチマークとなるアナリスト予想はどのような影響をうけているのか明らかにするため研究を進める予定である。
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