研究課題/領域番号 |
22J20123
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
梁 昊 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 中国系移民 / 社会統合 / 居住移動 / シークエンス分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、東京都市圏における中国系移民の居住移動から移民の社会統合のプロセスとその結果を明らかにする。2022年度では、大きく、中国系移民の状況と日本の大都市圏における移民全体の状況について調査研究を行ってきた。 2022年度では、当初の計画通り、中国系移民を対象に、オンラインによる調査票調査を行うことができた。まず、オンライン調査票調査を行う前に、調査票調査の調査項目と研究仮説の妥当性を確認するのに、12名の東京圏在住、在学の中国系移民を対象にインタビュー調査を行うことができた(5月~6月)。インタビュー調査の結果に踏まえ、調査票の修正を行った。そのうえで、7月8日から9月1日にかけて予定していた調査を行った。本調査は科学技術振興機構に登録してある日本における中国系団体のうち、事務局が東京都市圏に設置してあり、かつメールアドレスあるいはウィーチャットのいずれの連絡方式が明記されている団体を抽出し、いずれかの組織に参加している者を調査対象者とした。すべての組織の事務局あるいは事務責任者、団体長宛に調査協力のお願いをメールにて送信した。本調査の結果、約1600人の回答が集められた。9月以降、集められたデータに対してクリーニングを行い、基礎集計と分析を行った。そこで得られた成果について、2023年6月開催の世界社会学会大会において口頭発表する予定である。 また、中国系移民の居住移動研究を推進するとともに、マクロレベルでの日本大都市において移民に関しての居住分断状況に関する研究もアメリカ人口学会のポスターセッションに採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
中国系移民に対するオンライン調査の結果、当初より予定していた700人程度より大きく上回る、約1600人の回答が集められた。東京都市圏に居住している中国系移民という限定された集団に対して1600人程度の調査票データを集められたことにより、日本の大都市圏に居住している中国系移民の状況に関して貴重な基礎資料を集めることができ、より質が高い成果を社会へ還元できることが期待される。いち早く得られたデータを用いて、多面的、多角的な分析を行う予定であり、最初の研究成果を世界社会学会大会の社会階層セッション(RC28)にて口頭発表する予定である。 また、東京における中国系移民の状況を理解するのに必要不可欠の日本の大都市圏における移民の居住状況と居住分離に関する研究も、公的データを用いて試行的分析を行い、都市圏ごとの特性とそれに影響する要因に関する成果をアメリカ人口学会にてポスト発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降は、調査票データと公的データの分析と研究成果の発信に重心を置く。まず、中国系移民の居住移動と社会統合をテーマに、来日後の居住移動の特性を居住地域から検討を行い、それに影響する要因を移民の社会統合の理論から析出する。この研究に関して、6月の世界社会学会大会での発表を行なった上で、論文化し、国際社会学系、移民系論文誌に投稿する予定である。また、居住移動の地域特性のみでなく、居住形態と同居者構成から多面的に居住移動の特徴を明らかにし、その成果を日本語の論文誌に10月に投稿する予定である。 なお、日本の大都市圏における移民の居住状況に関する研究を推進するために、アメリカ人口学会で得られたフィードバックをもとに分析計画をたて、公的データのオンサイト利用申請を行い、移民の特殊な状況に合わせた時系列的比較分析を行うことで、大都市圏間、地域間、移民集団間の居住状況を明らかにし、論文化させる予定である。
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