研究課題/領域番号 |
22KJ1389
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
梁 昊 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 中国系移民 / 社会統合 / 住み分け / 居住移動 / シークエンス分析 / セグリゲーション / 移民 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本における中国系移民の居住統合の様相とそれに影響する要因を明らかにすることを目的として、2023年度では、2022年度で収集できた調査票データの分析と論文の執筆、学会発表と論文投稿を中心に研究を推進した。 まず、調査票データを用いて複数の分析を行い、中国系移民の居住移動(来日後の引越し履歴)の類型と家族形成と持ち家購入との相互関係を検討した。来日後の引越し履歴と家族形成、住居形態(持ち家かどうか)の間では、五つの対応関係があり、それぞれは異なる社会経済的要因と結びつながっていることがわかった。その成果を複数の学会にて報告し、和文学術誌で論文掲載が決まった。 また、引越し履歴と社会統合の相互関係に関する研究も分析ができ、来日後にどのような地域類型において居住しているのかはそれぞれの社会経済的ステータス(例えば収入と日本語能力)およびエスニック地域への居住の主観的態度の相互関係によって決められることがわかった。その分析を論文化させ、英語論文誌に投稿中である。 そして、日本における移民の社会経済統合と地域セグリゲーションに関する研究も推進し、前者は英文学術誌に投稿中で、後者に関して論文作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国系移民の引越し履歴に関する類型の論文は和文学術誌にて掲載が決まり、成果の出版につながることができた。またその他の論文もスムーズに分析ができており、査読コメントへの対応や、査読結果待ちなどのステータスにあることで、成果の公表が期待できる。よって計画通りに研究が進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の2024年度では、引き続き実証分析と成果の出版に注力する。 まず、これまでの居住移動の分析から複数の類型がわかったが、それらの類型はいかに中国系移民の社会経済的統合に影響を与えるかを実証的に、方法論的に検討を行う。 また、日本におけるセグリゲーションの実態はこれまでの研究で明らかにしてきたが、どのようなメカニズムでセグリゲーションの緩和ができるのかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度では、研究のためのデータ購入と研究成果を発信するための学会出張を中心に予算配分した。しかし、残額が他の市区町村データの購入には不足であった。そのため、来年度の2024年度に繰越し、追加して入手できなかったデータの購入をし、現在行われている調査票データと国勢調査ミクロデータとマッチングして、建物レベルでの大規模な分析を行う予定である。また、すでに複数の国際学会で口頭発表が承認され、積極的に成果発信も行う予定である。
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