研究計画に記載したGNSS(衛星測位)の可用性や誤差の予測について測量や自動運転支援等で利用されるRTK測位のを対象として研究を行った。GNSS衛星からの信号受信環境は周囲の障害物によって変化するため、任意の時間・場所でRTK測位が利用可能であるかは測量や自動運転支援において重要である。 当該年度はLOS(Line-Of-Site/見通し可能)衛星の数及び、そのLOS衛星群のDOP(精度低下率)を用いてRTK測位が可能であるかどうかを予測することを目標とした。任意の時間・場所におけるLOS衛星環境をシミュレーションするために国土交通省が無償で提供しているPLATEAUプロジェクトの3D都市データとレイキャスティング法を用いて、従来手法と比べて広範囲(東京都の江東区、中央区、千代田区などを含む)かつ高速なシミュレーターを作成した。 そして実際の走行データをこのシミュレーターに入力してLOS衛星環境とRTK測位の測位種別の関係を紐づけした。この紐づけしたデータを教師データとして機械学習の分類手法(K近傍法、SVM、ロジスティクス回帰)で教師モデルを作成し、テスト用走行ルートにおいてRTK測位の可否を予測する機械学習プログラムを作成した。結果として約80%ほどの精度でRTKの可否を予測することができた。 次年度は当該年度で作成したプログラム類をサーバーでリアルタイムに実行し、走行中に即座にその場のRTK予測が得られるようなシステムの開発を行う予定である。
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