研究課題/領域番号 |
22KJ1393
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
立花 愛子 東京海洋大学, 学術研究院, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2026-03-31
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キーワード | 南大洋 / 小型動物プランクトン / カイアシ類 / 生物炭素ポンプ |
研究実績の概要 |
本研究では、南大洋生態系における小型動物プランクトンの生物炭素ポンプ(BCP)における機能的役割の解明を目的として、小型動物プランクトンの群集構造、代謝、餌生物、鉛直分布について炭素ベースで定量化して評価することを目的としている。 本年度は、2023年1月に実施された南大洋観測航海に乗船し、小型動物プランクトンの群集構造を把握するための試料採集を行うとともに、優占する小型カイアシ類の摂餌飼育実験を行った。実験は南大洋における様々な水塊において行い、摂餌速度および餌生物の詳細を明らかにするため、顕鏡用の固定試料とDNAメタバーコーディング用の試料を得た。また、大型の優占種と比較実験もいくつかの観測点にて行った。環境中のデータと比較検証のため採水による環境DNA試料も合わせて得た。さらに昼夜における小型動物プランクトン群集の鉛直分布を見積もるための試料をネット採集によって得た。 昨年度より進めてきた、南大洋インド洋セクターの小型動物プランクトンの群集構造(種組成、分布、個体数密度)について論文としてまとめ、国際誌に掲載された。小型動物プランクトン群集構造の年変動と空間変動、および主要小型橈脚類Ctenocalanus citerの個体群構造を明らかにした。その結果、小型動物プランクトン群集は海氷の後退時期に伴う一次生産量に素早く反応し、局所的な渦によって形成される環境勾配がC. citerの個体群構造に影響を与えていることが明らかになった。 アウトリーチ活動の一環として、南極海の概要からプランクトンや海洋生態系について体験型のプログラムを作り、小学生以上を対象としたワークショップを5回ほど行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
産休・育休により、試料採集・飼育実験が1年ほど遅れ、その後の解析もこれからであるため。
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今後の研究の推進方策 |
得られた試料の顕微鏡およびDNAメタバーコーディングを通して、摂餌速度の炭素量ベースの定量化を進める。また、水塊ごとおよび大型種との比較を行い小型動物プランクトン群集のBCPにおける役割の定量化を進めていく。
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