研究課題/領域番号 |
22J21254
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
西原 慧 横浜国立大学, 大学院工学研究院(学府), 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 最適化 / 進化計算 / 機械学習 / 差分進化 / パラメータ適応 / サロゲート進化計算 / 代理モデル進化計算 |
研究実績の概要 |
当初の研究計画では、1年目に、申請者の進化計算においてパラメータの適応法を改良することを予定していた。しかしながら、改良した適応法(適応進化計算)の性能を既存手法の性能と比較する実験を行った結果、数千回程度の解評価回数では、提案手法の性能は、解評価を代替する機械学習(サロゲート)を活用しながら最適化を行うサロゲート進化計算の性能と競合することを発見した。ここで、通常の適応進化計算は、十分な最適化を行うために通例数十万回の解評価回数を要することを鑑みると、提案手法は、数千回の評価回数でサロゲート進化計算と競合するまでの性能向上を、パラメータ適応というアプローチで遂げたことに意義がある。本研究の有効性は、提案手法が、サロゲートの構築や解評価値の推定に多くの計算時間を要するサロゲート進化計算よりも、100倍以上高速に最適化を達成することにある。 サロゲート進化計算は、数百回の評価回数で高い性能を導出する一方で、進化計算のパラメータに加え、機械学習のパラメータをも調整する必要があり、ユーザの負担は増加する。したがって、さらなる性能向上とユーザの利便性向上のために、本年度はサロゲート進化計算における適応に取り組んだ。具体的には、適応対象として、サロゲート構築に要する学習データを採用する方法を、新たに提案した。また、適応の方法として、適応候補となる複数のサロゲートから優れた候補を選択する際に用いる選択基準を、通常の誤差指標から「解更新の成功実績」に変更して、最適化に直接貢献する基準に変更した適応法を発表した。つまり、これらの発表は、サロゲート進化計算における適応法の研究に対して、適応対象と適応方法といった多角的な視点で取り組んだ結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、適応進化計算の性能を向上させることを目的としていたが、少ない解評価回数で高精度に最適化を進める代表的手法であるサロゲート進化計算と、数千回程度の解評価回数で性能が同等であることを発見した。そこで、サロゲート進化計算に申請者の適応法を新たに導入して、より高い性能を導出する最適化手法を提案した。これにより、1年目の計画を代替する形で、しかし「適応法を軸としたアプローチ」という形で研究計画に沿って、有効な成果を挙げた。
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今後の研究の推進方策 |
申請者のサロゲート進化計算において性能向上を実証した適応対象は、サロゲートの学習データに限られる。他の適応対象として、サロゲートに使用する機械学習モデルの種類やそのパラメータが考えられる。これらを適応対象とし、問題の特徴に合わせた適応を実現する指標を見つけることにより、サロゲート進化計算における効果的な適応法を考案する。 これと並行して、従来の進化計算におけるパラメータと解探索状況の相関を調査し、適応進化計算の性能向上にも引き続き取り組む。
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