研究課題/領域番号 |
22J10252
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 総合研究大学院大学 |
特別研究員 |
山本 由梨 総合研究大学院大学, 文化科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 美術史 / 美人画 / 女性画家 / 婦人雑誌 / 近代日本美術 / 百貨店 / 消費文化 |
研究実績の概要 |
研究初年度の令和4年度は、これまでに調査を重ねてきた資料の再考を試みた。具体的には、文部省美術展覧会の開催時期に発行された婦人雑誌『婦人画報』『婦人世界』『女学世界』『婦女会』等を中心に、女性向けのメディアを再度精査し、女性画家や美人画が誌面でどのように取り上げられたのかを分析した。その成果を「文展期における女性の美術趣味と美人画」と題して報告した(口頭発表「文展期における女性の美術趣味と美人画」、明治美術学会2022年度第1回例会、東京藝術大学、令和4年4月23日)。本報告においては、文展開催時期の婦人雑誌が、女性に対して美術趣味の養成を要求したこと、また、女性が美術趣味を養う場合に、美人画の制作と鑑賞が重要な手がかりとなったことを論じた。 また、美人画家・池田蕉園を中心に、美人画を描き、展覧会に出品することによって画壇で活躍した女性画家の調査を進めた。特に、池田蕉園については、個別の作品の調査に基づき、表現手法の確認と分析を行いながら、その画業の再考を試みた。具体的には、東京国立博物館が所蔵する池田蕉園の作品《髪》について、作品調査の経験をふまえ、本作品の近世浮世絵からの影響と、明治後期の百貨店をめぐる消費文化との関わりを考察し、その結果を論考にまとめた。次年度以降は、百貨店をめぐる消費文化と、同時代に描かれた美人画との関わりを示す資料の調査をより進展させ、多角的な考察を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
婦人雑誌などの女性向けメディアの資料と、消費文化に関連する資料の両者の調査を進め、それらの美人画との関係の考察を進展させることができている。 一方で、新型コロナウイルスの感染拡大等の影響により、美人画作品の熟覧・調査の機会を十分に得ることができなかった。この点は次年度の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度には、遺漏のあった資料の調査を進めていく。特に、百貨店の発行するPR誌を中心に精査を進め、同時代に描かれた美人画との関係を考察したい。それらの分析の成果をまとめ、論考を発表する機会を多く持ちたい。
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