研究課題/領域番号 |
22J11106
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
柏木 頼我 総合研究大学院大学, 物理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 星形成 / フィラメント状分子雲 / 磁気流体力学 / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
星はフィラメント状分子雲内部で形成されると考えられている。近年、そのフィラメント状分子雲同士の衝突に起因する星形成の観測例が報告されている。このフィラメント衝突過程を理解することは、衝突に由来する星形成の初期条件を知ることにつながる。そのため、本研究ではフィラメント衝突を再現した数値シュミレーションに取り組む。 (1)今年度はフィラメント同士の正面衝突を再現した二次元磁気流体計算をおこなった。それにより衝突箇所の動径方向に対する重力不安定の条件とその進化の様子について調査した。初期条件は、同じ線質量の無限に長い2本の磁気静水圧平衡にあるフィラメントを平行に配置し、磁力線に沿って、相対速度が遷音速~超音速で正面衝突すると仮定した。その結果、初期フィラメントの合計線質量が磁気臨界線質量を上回っている場合、初期相対速度によらず衝突箇所が暴走的に収縮する。一方で、合計が臨界値未満の衝突の場合、初期相対速度によらず衝突箇所は磁気静水圧平衡形状とよく似た構造に進化することがわかった。これらの結果をまとめ学術誌に投稿した。 (2)フィラメント同士が直交した衝突を再現するためのモデルの基本設計をおこなった。正しく密度分布と磁場強度分布を配置できるようになり、フィラメント同士のなす角度が衝突後の進化に与える影響を三次元磁気流体シミュレーションを用いて本格的に調査できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
三次元磁気流体シミュレーションでは、フィラメントが互いに直交して衝突するようなモデルを計算する予定であった。そのためには初期条件として、片側のフィラメントの密度分布と磁場分布を回転させる必要がある。その際、数値的に磁気単極子が発生しないよう、磁場分布をベクトルポテンシャルで与える必要があり、初期条件設定の難易度が高く時間を要した。 しかし、上記の問題を解決することができたため、今後は当初の予定通り三次元計算を進める。
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今後の研究の推進方策 |
直交衝突モデルの三次元磁気流体計算をおこなう。これまでの二次元計算でおこなった正面衝突では見えていなかった初期速度依存性が現れるのかを確かめるとともに、衝突箇所の不安定性がどのような物理で決まっているのかを理論的に解釈する。さらに、計算コストを圧縮し、効率よく高分解能計算が実行できるよう、Static Mesh Refinementを用いて高効率化を図る。 また、観測との比較を可能にするために必要な、フィラメント衝突現象の証拠となるような特徴を見つける。
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