最終年度は、具体的に以下のような研究成果が得られた。 1.前年度に続き、アルタイ語の語彙・文法調査に注力した。今年度は、特にアルタイ語の複数人称代名詞における複数接尾辞についてアンケート調査及び文献調査を実施、公表した。2.オンラインを通しての少数民族言語ショル語の予備的調査を行った。3.キルギス語に関して一週間の現地調査を行い、現地の言語学者らと有益な意見交換を行った。なお、現地でしか手に入れられない資料や文献などを収集することができた。4.筆者が担当してきた東京外国語大学でのキルギス語の授業や、長年のキルギス語記述研究の成果をまとめた書籍を2024年4月1日に出版した。5.今年度の研究成果として、国内口頭発表8件、国際学会発表2件、招待講演3件、5本の学術論文を出版した。2023年度は国内だけでなく海外においても積極的に研究成果を発表してきた。韓国やカザフスタン、キルギス共和国の研究者らとの国際共同研究という側面においても、進展が見られた。研究成果は学会や学術論文としてだけではなく、新潟大学・静岡大学・釧路公立大学などで研究者らと交流を行い、自分の研究成果を積極的に公表することができた。 2023年度にはチュルク諸語に北西語群に属する2つの言語、キルギス語とアルタイ語に加え、日本でこれまでに注目されてこなかった北東語群に属するショル語の基礎語彙調査の準備調査を行った。調査は主に文献調査とオンライン調査の両方を活用しながら、実施し、記述的・対照言語学的研究においても新たな成果を得ることができた。直近3年間に獲得・蓄積した知見は、今後の研究の基盤になると確信している。
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