海馬CA1にシリコンプローブと光ファイバーをインプラントし、記録した局所電場電位に対して独立成分分析を用いて複数の信号源を分離した。さらに、分離した信号源において特定回路の光刺激に対する誘発応答を調べ、入力回路由来活動を同定した。光刺激アーティファクトと神経誘発活動は光刺激に対する応答の動態が異なっており、短パルス波形と指数減少関数の畳み込みを用いてアーティファクト波形モデルを作製し、モデル波形をカーブフィットして元の波形から差し引くことで神経誘発応答波形を得た。誘発応答が見られたコンポーネントから海馬CA3と嗅内皮質細胞由来活動を再構成し比較したところ、海馬CA1錐体細胞層においてリップル活動の大きさに差が見られた。さらに、嗅内皮質3層細胞と嗅内皮質2層島細胞由来活動を比較したところ、シータリズムの大きさや、海馬CA1におけるLFPとのシータ-ガンマカップリングの強さに差がある傾向を見出した。よって、本研究で開発した技術は異なる脳領域からの入力活動動態の違いを示せることを確認した。さらに、海馬歯状回において外側嗅内皮質と内側嗅内皮質からの入力を分離した。分離した入力は、オブジェクト認識記憶と空間作業記憶のタスク中で異なる傾向にあった。上記の進展に加えて、局所電場電位記録に対し独立成分分析を用いることで解析的に筋電位情報を抽出できることを示した。この技術は直接的な筋電位測定をしなくても筋電位情報の取得を可能にし、筋電位を利用した動物の動きや睡眠の長期的・安定的な行動解析を可能にする。
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