研究課題/領域番号 |
21J21107
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
西尾 郁也 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | カンラン岩 / 沈み込み帯 / 統計解析 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
昨年度はグリーンランド太古代カンラン岩体に記録される複雑な二次的組成改変の実態を読み解く研究を行なってきた.本年度はこの特異性を理解するために,深海性カンラン岩と北海道神居古潭帯に産する高枯渇度カンラン岩体の研究を行った.これらの研究についてはどちらも国際誌にて論文を発表した(Nishio et al., 2022, 2023).Nishio et al. (2022)では統計学的・機械学習手法を学び,マントル岩石学に応用させた.統計解析を深海から採取されたカンラン岩に適用させたのは世界初である.統計学的手法によって,組成の分類と今まで認識されていなかった組成グループを見出した.さらに地球化学モデルと組み合わせたことで中央海嶺下マントルの不均質性,それを引き起こした現象の重要性を定量的に評価した.この研究に関してフランスで行われたマントル研究会,フィリピンの地球科学会で発表をした.Nishio et al. (2023)では世界で特異な存在である高枯渇度カンラン岩体の成因と形成過程について検証した研究が少ないことを見出した.そこで北海道に産する高枯渇度カンラン岩中のカンラン石と直方輝石の微量元素組成に着目し,地球化学モデルと組み合わせることで,溶融過程を定量的に明らかにした.世界有数の高枯渇度カンラン岩において,詳細な微量元素組成分析と地球化学モデルを行なったのは初めてである.この研究結果は2023年7月に行われる国際学会にて発表する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
グリーンランド太古代カンラン岩体に記録される複雑な二次的組成改変の実態を明らかにした(Nishio et al., 2022a).その比較として,深海性カンラン岩と北海道神居古潭帯に産する高枯渇度カンラン岩体の研究を行い,国際誌にて論文を発表した(Nishio et al., 2022b, 2023).
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今後の研究の推進方策 |
これらの研究から得た知見をもとに,現在はグリーンランド太古代の中でも世界で最も古いクロミタイトを用いた記載岩石学的研究を行っている.今後,この交代作用の実態と大陸下マントルの関連を明らかにし,大陸下マントルの形成条件と破壊に至るまでの組成変化を検証していく.
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