研究課題
本研究では,地球初期のマントルの情報を読み解くためにグリーンランドに産する太古代超苦鉄質岩を用いた記載岩石学的研究を行った(Nishio et al., 2022 J.Pet.).また,比較対象として中央海嶺下の上部マントル物質である深海性カンラン岩と沈み込み帯初期に由来する北海道神居古潭帯の高枯渇度カンラン岩の記載岩石学と統計解析を用いた研究も行った(Nishio et al., 2022 G-cubed; Nishio et al., 2023 JGR).最終年度はグリーンランドに産する太古代のクロミタイトという岩石の研究を行った.太古代のクロミタイトの成因,形成後の変成履歴,形成に関連した親マグマの組成の制約を行うために,これまでの研究で培った知見と手法を用いた包括的な研究を行なった.記載岩石学的手法を用いることでクロミタイトに記録される変成履歴の評価を行った.記載岩石学的評価を元に変成作用によって大きく組成が改変されている元素,サンプルと形成時の情報を保持する元素とサンプルを選別した.そして地球初期に形成された層状貫入岩体のクロミタイトの化学組成データをコンパイルし,統計解析を用いる事でグリーンランドの太古代超苦鉄質岩体も層状貫入岩体であることを確かめた.そして,太古代のクロミタイトの形成に関連した親マグマがボニナイトではなくコマチアイト的なマグマが最もらしいことを明らかにした.研究結果は国際誌に投稿中である.
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