我々は、ロブスターアイと呼ばれる特殊なX線光学系とX線イメージセンサー(pnCCD)を組み合わせた史上最高感度の広視野X線検出器の開発を行っている。pnCCDは、ドイツのPNDetector社が開発したX線CCDで、欧州の科学観測衛星や加速器で積極的に利用されている。しかし、国内での利用実績が乏しく、読み出し基板の開発から駆動ロジックの開発および性能評価まですべて行う必要があった。本研究では、読み出し基板の開発および駆動ロジックの開発を行い、その性能評価を行った。 今年度は、(1) 読み出しASICの信号をAD変換するADC基板の開発、(2) pnCCDや読み出しASICへの電源供給を行う電源基板の開発を行った。 (1) ADC基板の開発:昨年度までに開発したADC基板では、実装されている4つのASICの内、2つのASICで公称値の約4倍の読み出しノイズが発生していることが明らかになった。そこで、今年度は原因と思われる個所を修正した新たなADC基板の設計・開発を行った。 (2) 電源基板の開発:pnCCDおよび読み出しASICは、単一の電源ではなく、10種類以上の様々な電源を用いる必要がある。昨年度までは多数の安定化電源から供給していたが、実験の再現性や人的ミスの恐れから新たに電源基板の設計・開発を行った。 どちらの基板も年度内で設計・開発が終了しており、現在は製造段階に移っている。製造・納品が済み次第、デバッグ作業に移っていく予定である。
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