研究課題/領域番号 |
20J00360
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
赤江 要祐 信州大学, 繊維学部, 特別研究員(CPD) (40837415)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2025-03-31
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キーワード | 重合後修飾反応 / 活性エステル / らせん高分子 / 不斉反応 / 機能性高分子 |
研究実績の概要 |
高分子との連結反応として共役置換反応を用いた分子設計において、α-(クロロメチル)アクリル基を含む反応剤の合成が難航したため、活性エステルを用いた反応系を検討した。様々な活性エステルが高反応性置換基として一般に使用されているが、ここではペンタフルオロフェニルエステル(PFPE)基に注目した。ペンタフルオロフェニルアクリレート(PFPA)は、市販試薬から容易に合成可能であり、また種々の汎用アクリレートと共重合可能であることから、ポリマーの重合後修飾反応に広く用いられてきた。重合後のポリマーに含まれるPFPE基は、一般的に困難である高分子反応であっても、脂肪族アミノ基と高効率で反応するため、この反応を本研究における高分子の連結反応として利用出来る。 PFPE基を側鎖に含むポリフェニルアセチレンを合成したところ、期待通りアミンとの反応が高効率で進行することが確認された。一方で、ポリフェニルアセチレンは動的らせん構造を有するため、キラルなアミンとの反応により、らせんの巻き方向に偏りが誘起される。この片方巻きらせん誘起を、CDスペクトル測定によって実際に確認した。また、このポリフェニルアセチレンに含まれるPFPE基の内、一部のみをキラルなアミンで置換して得られるポリマーは、不斉選択的な反応性を有することが示唆された。この挙動の詳細を現在検討中である。高分子材料における不斉選択的な反応が可能であれば、キラリティーによる材料物性の制御、生体材料、接着対象となる標的表面認識への展開も視野に入る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高効率で重合後修飾反応可能な高分子が合成され、その選択的反応性が確認されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今回観測された不斉反応の詳細を検討し、不斉選択的応答を示す高分子の開発を検討する。また、PFPE基以外の反応性置換基における類似の不斉選択性についても検討する。分子デザイン幅の拡大は、使用可能な高分子骨格および材料物性のチューニング自由度増大につながり、最終的に目的用途に応じた材料開発においてプラスとなるためである。
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