• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

アドレノメデュリン-RAMP2、3系の選択的制御による癌転移抑制薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1493
配分区分基金
研究機関信州大学

研究代表者

田中 愛  信州大学, 医学部, 特別研究員(RPD)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワードアドレノメデュリン / リンパ節転移 / 血管恒常性 / 癌関連線維芽細胞 / 癌微小環境
研究実績の概要

アドレノメデュリン(AM)は多彩な作用を有するペプチド因子である。 我々は、AMの機能が主として、AM受容体に結合する受容体活性調節タンパク、RAMP2あるいはRAMP3によって制御されていることを報告してきた。昨年度までの検討から、誘導型血管内皮細胞特異的 RAMP2 ノックアウトマウス(DI-E-RAMP2-/-)では、血行性転移のみならず、リンパ節転移も亢進することを見出した。リンパ節内には、通常の血管内皮細胞とは異なる高内皮細静脈(HEV)が存在する。HEVは、リンパ球を免疫応答の場であるリンパ節内にリクルートする働きを持つ。DI-E-RAMP2-/-では、リンパ節内のHEV数の減少と内皮細胞の形態異常、T細胞の減少、樹状細胞の分布異常が認められた。さらにDI-E-RAMP2-/-では、HEVに特異的に発現し、リンパ球誘引に必要なCCL21/CCL19などのケモカインや、ICAM-1/Glycam-1などの接着因子の発現が低下していた。
次に、もう一方の受容体活性調節タンパクである、RAMP3に着目した研究を進めた。RAMP3遺伝子を欠損した乳癌細胞 (RAMP3-/-細胞)を樹立した。C57BL/6Jマウスに癌細胞の皮下移植実験を行うと、RAMP3-/-細胞移植群では、コントロール細胞移植群と比較して、腫瘍重量が有意に抑制された。RAMP3-/-細胞移植群では、癌関連線維芽細胞(CAF)の活性化マーカーであるSM22αや、上皮間葉転換(EMT)誘導因子であるTGF-β1およびSnailの発現低下が認められた。
以上から、AM-RAMP2系は血管恒常性を維持することで、転移を抑制すること、AM-RAMP3系はCAFの悪性度を増悪させ、転移を促進することが明らかとなった。選択的なRAMP2の活性化とRAMP3の抑制が、癌転移抑制の新たな治療法になることが期待される。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Receptor activity-modifying proteins of adrenomedullin (RAMP2/3): Roles in the pathogenesis of ARDS.2024

    • 著者名/発表者名
      Kasahara Tomoki、Tanaka Megumu、Zhao Yunlu、Kamiyoshi Akiko、Sakurai Takayuki、Ichikawa-Shindo Yuka、Kawate Hisaka、Matsuda Yorishige、Zhang Yan、Guo Qianqian、Li Peixuan、Hoshiyama Ken、Li Jiake、Onishi Naho、Hayashi Marina、Sanjo Hideki、Ishida Kumiko、Tanaka Satoshi、Kawamata Mikito、Shindo Takayuki
    • 雑誌名

      Peptides

      巻: 171 ページ: 171118~171118

    • DOI

      10.1016/j.peptides.2023.171118

    • 査読あり
  • [学会発表] アドレノメデュリンの受容体活性調節システムを標的とした癌転移の制御2024

    • 著者名/発表者名
      田中愛
    • 学会等名
      第53回日本心脈管作動物質学会
    • 招待講演
  • [学会発表] アドレノメデュリンーRAMP2、3系による癌転移制御機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      田中愛
    • 学会等名
      第27回日本心血管内分泌代謝学会
    • 招待講演
  • [学会発表] AM-RAMP2系は、高内皮細静脈(HEV)の恒常性を制御し、リンパ節転移を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      田中愛
    • 学会等名
      第6回日本腫瘍循環器学会
  • [備考] 信州大学医学部循環病態学教室ホームページ

    • URL

      https://www7a.biglobe.ne.jp/~shindo/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi