研究課題/領域番号 |
22J13069
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
近藤 文哉 信州大学, 総合医理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | トウガラシ / ししとう / カプサイシノイド / QTL解析 / 比較ゲノム・トランスクリプトーム解析 |
研究実績の概要 |
申請者らはこれまで、野菜用トウガラシ‘ししとう’から辛味低減に関わる2遺伝子座(Shql3・Shql7)を見出しており、これらはトウガラシ育種時の辛味強度調節に活用できる可能性がある。そこで本研究では、‘ししとう’のゲノム・トランスクリプトーム解析により、当該2遺伝子座の原因遺伝子を特定することを目的とした。本年度はまず、‘ししとう’と辛味品種‘鷹の爪’の全ゲノムリシーケンスを実施し、その膨大な品種間多型データを活用して、Shql3・Shql7近傍に遺伝子型判別マーカー(HRM法を使用)を設計した。これらの遺伝マーカーを用いて‘ししとう’ב鷹の爪’交雑F2集団の遺伝解析を行い、Shql3・Shql7近傍領域においてマーカー密度の高い連鎖地図を作成した。その後、辛味強度(カプサイシノイド含量)に関する量的形質遺伝子座(QTL)解析を行い、Shql3・Shql7の座上領域の再推定を行った結果、それぞれ4 Mbp以内に座上領域を絞り込むことが出来た。原因遺伝子の同定に向け、snpEffソフトウェアを用いた比較ゲノム解析を行い、Shql3・Shql7の推定座上領域における‘ししとう’と‘鷹の爪’間のゲノム変異を網羅的に調査した。また、比較トランスクリプトーム解析により、両品種間の遺伝子発現変動についても調査を行った。これらのデータを統合し、‘ししとう’と‘鷹の爪’の発現量に有意な差異がみられる遺伝子や、ナンセンス変異等の重大な変異を有する遺伝子を探索した結果、Shql3・Shql7のそれぞれで約100遺伝子を候補遺伝子としてスクリーニングすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
辛味低減に関わる2遺伝子座(Shql3・Shql7)の座上領域をこれまでよりも大幅に狭めることができた。また、その推定領域内の遺伝子配列・発現変異を明確化し、候補遺伝子のスクリーニングができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は推定された2遺伝子座(Shql3・Shql7)の座上領域内にDNAマーカーを複数設計し、‘ししとう’ב鷹の爪’交雑F2集団を用いた遺伝解析によって、さらにその座上領域を絞り込む。そして、2022年度と同様に比較ゲノム・トランスクリプトーム解析を行うことで、原因遺伝子を明らかにする。また、原因遺伝子の育種利用に向け、その遺伝子型を識別するDNAマーカーの設計を試みる。
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