研究実績の概要 |
研究成果: Ti、Fe、Ni、Cuの4種類の遷移金属相手材のうち、DLCとの最適な摩擦特性を有する素材はチタンであった。各相手材に対する摩擦特性を定量化し、EDS、Raman、XPSを介して移着層の元素比、元素分布、結合構造等を分析し、マイクロビッカースを通じて移着層と相手材との接着特性を評価した。最後に摩擦係数と各化学的パラメータ間の関連性を確立した。 チタンはDLC由来のカーボン系低せん断移着膜の形成を容易にし、最も豊富な炭素質移着層を形成した。 遷移金属の炭素親和性は炭化物形成エネルギー、炭素との接着特性、溶解度などにより評価され、移着層内の炭素含有量に大きな寄与をするパラメータは炭素との接着特性であることが確認出来た。 また、炭化物を形成可能な金属(Ti、Fe、Ni)が相手材である場合、相手材上に炭素質移着層が形成された。一方、炭化物を形成しないCuの場合には炭素質移着層を形成するのではなく、Cuの摩擦酸化膜を形成することを確認した。 結論的に炭素とよく付着し、また炭化物を形成できる転移金属であるチタンがDLCとの最適な摩擦ペアだった。 したがって、このようなパラメータを持つ遷移金属、例えばTi、W、Zr、TaなどがDLCに対する優れた摩擦相手材と見なされ、これらを摩擦システムに適切に添加することがDLCの摩擦システムに効果的だと判断される。 投稿論文: Friction characteristics of amorphous carbon coating against various 3d-transition metals, Tribology International, 2022, 査読あり
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在までの進捗状況: 当初予想よりはるかに進展した研究成果がある。 研究課題の本来の目標だけでなく、追加的な研究を進行及び学術誌に発表している。 1.Ti、Fe、Ni、Cuの摩耗は高硬度のDLCより必然的に多くならざるを得ず、それによる摩耗不均衡は摩擦システムで騒音と振動を誘発する原因になる。 彼らの磨耗の原因である酸化摩耗を定量的に評価できる酸化摩耗方程式を樹立した。 従来発表された酸化摩耗方程式は多様な素材に対して適用が不可能であり、数式的にエラーがあり、最も困難なのは酸化膜の物性を測定してこそ適用可能だった。 そのようなエラーを修正し、酸化膜の物性の測定が必要ないことを証明し、多様な素材に適用できるように修正された酸化摩耗方程式を発表した。 投稿論文: Tribo-chemical wear of various 3d-transition metals against DLC: Influence of tribo-oxidation and low-shear transferred layer, Tribology International, 2022, 査読あり 2.チタンをドーパントにした研究を進めており、以下の1編は発表され、追加的に転移金属のドーピングがDLCの摩擦に及ぼす環境的感受性に関するテーマで追加研究を進めている。 投稿論文: Long-term low-friction of Ti-overcoated and-doped DLCs: Robustly developed carbonous transfer layer with titanium, Carbon, 2022, 査読あり
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