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2022 年度 実績報告書

ペプチド核酸による二本鎖DNA認識の構造学的解析と遺伝子工学応用

研究課題

研究課題/領域番号 22J14529
配分区分補助金
研究機関名古屋大学

研究代表者

柴田 将成  名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2024-03-31
キーワードDNA / PNA / ペプチド核酸 / インベージョン / 結晶構造解析 / ヌクレオソーム
研究実績の概要

ペプチド核酸(PNA)は「インベージョン」と呼ばれる二本鎖DNAとの特徴的な結合様式が可能であり、生体内での二本鎖DNAの配列選択的な認識技術として応用が期待されている。本申請課題では、これまで詳細な立体構造が解明されていないインベージョン複合体について構造学的な分析に取り組み、二本鎖DNAを制御する基盤技術への展開を目指す。
本年度はインベージョン複合体のX線結晶構造解析に取り組んだ。研究開始当初に設計したインベージョン複合体で得た結晶は安定性が低く、結晶化までに時間を要したためサンプルの再設計を行った。二本鎖DNAおよびPNAの鎖長をそれぞれ短縮し、さらにPNA/DNAの2か所の相補領域を同一の塩基配列として簡略化を行うことで、サンプル調製から結晶化スクリーニングまでの工程を迅速化した。また、測定条件において安定な結晶を得ることに成功した。
また、インベージョン複合体の部分構造となるPNA/DNA二本鎖のX線結晶構造解析に取り組んだ。多波長異常散乱法での解析のため、チミン塩基と同様の塩基対形成が可能かつ、臭素原子を有するウラシル塩基誘導体を原料としてPNAモノマーを合成した。これを用いた固相合成により、PNAオリゴマーの合成、精製まで完了し、結晶化スクリーニングに取り組んでいる。
真核生物の生体内のDNA のモデルとして、ヒストンタンパク質とDNA を人工的に複合化した再構成ヌクレオソームを標的とし、PNAによるインベージョンが可能か検証した。ヒストンタンパク質と二本鎖DNAが相互作用する複数の領域を標的として、蛍光標識PNAを合成した。ゲル電気泳動によって複合体の形成を評価した結果、ヒストンタンパク質と複合化していない二本鎖DNAに対してはインベージョン複合体が形成した一方で、ヌクレオソームに対しては複合体の形成がみられず、全く異なる挙動を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時の研究実施計画では、インベージョン複合体のX線結晶構造解析およびヌクレオソームへのインベージョン実験の初期検討を目標とした。
申請者はインベージョン複合体を構成する二本鎖DNAおよびPNAの塩基配列、鎖長、塩基対形成時に相補となる領域を設計することによりインベージョン複合体の結晶化までの工程を大幅に簡略化し、測定条件で安定な結晶を得た。
また、多波長異常散乱法での解析に利用可能なPNAオリゴマー合成に成功し、インベージョン複合体の部分構造となるPNA/DNA二本鎖の結晶化も同時に遂行した。
さらにヌクレオソームを標的としたインベージョンの初期検討を行い、二本鎖DNAとは異なる挙動を示す知見が得られた。
以上の結果から、目標達成、もしくは目途がたっている状況であり、当該申請課題はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

引き続きインベージョン複合体およびPNA/DNA二本鎖の結晶構造解析を行う。重原子を導入したPNAを用いることで多波長異常分散法によってインベージョン複合体の立体構造を明らかにする。得られた構造情報をもとに分子動力学シミュレーションを行い、インベージョン複合体中のDNAと結合したPNAの挙動を明らかにし、機能性分子を合理的にPNAへと連結する指針を見出す。
再構成ヌクレオソームに対するPNAによるインベージョン実験については、昨年度に得られた知見からヒストンタンパク質と二本鎖DNAが接近している領域以外に、二本鎖DNAの自由度が高い領域を新たに標的とし、PNAが安定にヌクレオソームと結合可能な範囲を調査する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Sequence-Specific Recognition of Double-Stranded DNA by Peptide Nucleic Acid Forming Double-Duplex Invasion Complex2022

    • 著者名/発表者名
      Aiba Yuichiro、Shibata Masanari、Shoji Osami
    • 雑誌名

      Applied Sciences

      巻: 12 ページ: 3677~3677

    • DOI

      10.3390/app12073677

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 二本鎖DNAとのインベージョン複合体形成におけるparallel配向ペプチド核酸の特性評価2023

    • 著者名/発表者名
      柴田将成、愛場雄一郎、日比野柾、荘司長三
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] New Design of Peptide Nucleic Acids Recognizng Double-Stranded DNA2022

    • 著者名/発表者名
      M. Shibata, Y. Aiba, M. Hibino, O. Shoji
    • 学会等名
      18th Annual Meeting of the Oligonucleotide Therapeutics Society
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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