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2023 年度 実施状況報告書

ナノカーボン表面化学修飾による高性能リアルタイムバイオセンシング技術の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1606
配分区分基金
研究機関名古屋大学

研究代表者

松永 優希  名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
キーワードカーボンナノチューブ / 化学ドーピング / PN接合ダイオード
研究実績の概要

本年度はカーボンナノチューブ(CNT)に対して、P及びNドーピングを施したPN接合ダイオードの作製と評価を中心に取り組んだ。ドーピングに用いる分子でP型安定なものとして、200℃まで安定なP型ドーパントである1,4,5,8,9,11-hexaazatriphenylenehexacarbonitrile (HATCN)を用い、N型ドーパントには、水酸化カリウム(KOH)とクラウンエーテルの一種であるベンゾ-18-クラウン-6の複合塩(KOH/CE)を用いた。これらを用いてPN接合ダイオードを作製し、200℃で5時間加熱しても安定に動作することを確認した。具体的には、以下の手順によるデバイス作製プロセスを考案した。まず、カーボンナノチューブ薄膜トランジスタ(CNT-TFT)を作製した後にKOH/CEブタノール溶液をスピンコートすることでデバイス全体にN型ドーピングを施した後、大気中の酸素や水によるN型特性の劣化を防ぐため、デバイス全面をアルミナ膜で被覆した。続いて電極を含むデバイス半分のアルミナ膜を水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液でエッチングするとともにN型ドーパントを洗浄した後、HATCNアセトニトリル溶液をスピンコートしてPN接合ダイオードを作製した。ドーピングの濃度条件は様々なCNT-TFTを作製して条件検討を行った。作製したデバイスを200℃に加熱したホットプレート上でデバイスを30, 100, 300分加熱してデバイスのI-V特性を測定した結果、作製したダイオードは200℃で300分加熱した後においても整流特性が得られ、温度耐性に優れたダイオードであることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度の進捗をふまえて予定していた高温安定化学ドーパントを半導体CNT薄膜に用いたPN接合ダイオードを作製することができた。それ以外にもプロトンの吸脱着によって導電性が変化する導電性ポリマーのスルホン化ポリアニリンをカーボンナノチューブ薄膜上に製膜することでpH変化や温度変化に対する電気的応答を得るためのデバイス作製と予備検討まで完了させることができた。

今後の研究の推進方策

今後はカーボンナノチューブ薄膜に対して様々な化学修飾やドーパントなどを調べることでpHや温度に対して大きく変化する分子探索を行うことを計画している。最終年度である3年であることをふまえて、カーボンナノチューブ薄膜上での化学修飾が細胞培養に与える影響評価や、導電性評価などを体系的に実施していく。

次年度使用額が生じた理由

英文校正に必要な費用を計上していたが、実験データおよび解析結果の見直しにより論文投稿の時期が遅れたため一部費用を次年度に繰越すこととなった。翌年度に論文投稿を行うことでこの費用を使用するとともに研究をさらに推進する方向で研究を計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] カーボンナノチューブに対する高温安定化学ドーピング技術の確立とデバイス応用2023

    • 著者名/発表者名
      松永優希
    • 学会等名
      第12回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン若手研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 高温耐性p/n型ドーパントを用いたカーボンナノチューブ薄膜pn接合ダイオード2023

    • 著者名/発表者名
      松永優希, 内山晴貴, 大町遼, 廣谷潤
    • 学会等名
      第14回マイクロ・ナノ工学シンポジウム

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公開日: 2024-12-25  

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