研究課題/領域番号 |
22J23164
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
富田 健太 名古屋大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 内受容感覚 / タッピング / ダンス / 音楽 |
研究実績の概要 |
本年度は、リズムへの同調運動と内受容感覚の関連を探るため、研究計画に記載してある実験1を行った。本実験では、メトロノームへの同期タッピング課題を行い、その課題成績と心拍カウント課題(内受容感覚の鋭敏さ)の相関分析を行った。先行研究では、プロの音楽家やダンサーはリズムへの同調運動能力が一般の人よりも優れていることが報告されており、また他の先行研究では彼らは内受容感覚が鋭敏であることが知られている。そのため、当初は、同期タッピング課題と心拍カウント課題のスコアには正の相関が見られると仮説を立てていた。しかし、実際には、これらの課題スコアには負の相関が見られた。つまり、内受容感覚が鋭敏であると、リズムへの同調運動の精度が低下することが示唆された。本研究は、Frontiers in Neuroscienceに掲載された。 内受容感覚を取り扱った多くの先行研究では、内受容感覚が高いことは他の認知機能と正の相関があることが知られている。そのため、本研究の結果は多くの内受容感覚研究とは一貫しない結果となっている。この結果の解釈として、申請者は「外受容感覚に沿った行動時には、内受容感覚はその妨害信号となり得る」という可能性を考えた。来年度以降は、内受容感覚と外受容感覚の統合や干渉などの脳・身体メカニズムを探求するために更なる実験を行う。そのための実験として、研究計画の1部を少々変更し、本年度中に予備実験を完了したため、来年度は本実験に移る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験1の結果が仮説とは逆の結果となり、その結果から第2実験を一部修正する必要が出てきた。しかし、予備実験までを本年度中の終わらせることができ、非常に順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の段階では、同期タッピング課題と心拍カウント課題のスコアには正の相関が見られると仮説を立てていた。つまり、内受容感覚が鋭敏である被験者は、リズムへの同調運動も得意であると考えていた。 しかし、実験1から、2つの能力には負の相関が見られる可能性が示唆された。この結果の解釈として、私は「外受容信号に沿った行動時には、内受容信号が妨害信号となる」というメカニズムを考えた。 そのメカニズムの妥当性を示すため、被験者の心周期に合わせたメトロノームを提示し、それに合わせてタッピングをさせる実験を計画している。この実験により、内受容信号が妨害信号となる可能性を示す。
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