自動車業界において需要が高まっている高性能なモータの開発を目指し,ハイブリッド界磁フラックススイッチングモータ(HEFSM)に着目して,HEFSMの高性能化に関する研究に従事した。特に,本年度は博士課程3年目であり,研究の最終フェーズにあたる。従って,下記に示すような研究に従事し,成果の取り纏めを実施した。 高出力密度・高効率化を実現するための磁気回路設計技術として,軸長/外径比及び磁石配置の最適化に関する研究に従事した。現行市販ハイブリッド車搭載の駆動用モータと同等の設計制約の中で,駆動用途における要求性能を達成した上で効率を最大化するという目標の実現を目指し,磁気回路設計に取り組んだ。試作機試験検証により,自動車駆動用途で重要となる低中速軽負荷運転域の広範な範囲で93%以上に達する高効率化を実現できることを示した。以上の結果を纏め,国内学会2件,国際会議1件にアクセプトされ,当初の計画を大きく上回る形で研究を遂行することが出来た。 一方,日本学術振興会の支援を受けた本学の日独共同大学院プログラムに参画し,モータの振動・騒音抑制に向けた動吸振器の開発に関する研究に取り組み,パートナー大学であるドイツのFAUと共同で研究に従事した。本年度,FAUに4か月間滞在し,FAU側の指導教員であるSteinmann教授の下で,トポロジー最適化による動吸振器の構造設計に取り組んだ。Steinmann教授らから助言を頂きながら,目標仕様を満たす能動型動吸振器を設計することに成功した。帰国後は,設計した動吸振器を3Dプリンターにより試作し,モータの振動吸収能力の実験検証に取り組んだ。以上の結果を纏め,2023年に開催される国際会議にて学会発表を行う。 本年度下期は,博士論文の執筆にあたり,これまでに取り組んだHEFSMの設計・制御技術と併せて,自身の博士課程における研究の取り纏めを行った。
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