本研究の目的は、中米の農村におけるアグロフォレストリーの成立条件と農地の多様化プロセスを明らかにすることである。今年度は、メキシコにおける2度のフィールドワークを実施した。調査対象地は、メキシコ合衆国、チアパス州の3コミュニティである。昨年のフィールドワークで実施したサーベイ調査結果に基づいて調査対象者を選定し、調査対象国のメキシコと在外研究中のオランダの共同研究者や協力者とともに再び現地調査を実施し、データを収集した。生業戦略の異なる世帯が、ホームガーデン、アグロフォレストリープロジェクト、在来自給農業、放牧地、二次林といった、様々なタイプのアグロフォレストリーに保有している樹木を中心とした資源の実態を明らかにした。また、それら資源が食料消費に与える影響に関し、計約2週間の食料消費のレコード調査を実施した。さらに、アグロフォレストリープロジェクトに関する地域住民やローカルな技術者のパーセプションに関して半構造調査を実施した。また、食事の材料や食材のアクセスに関する人々のパーセプションや文化的意義について、半構造インタビューによる調査を進めた。それぞれの結果に関して、共同研究者とともに解析を進めている。 また、学会への参加や文献調査により、研究のフレームワークの精緻化を進めた。前年度からの調査の結果を一部取りまとめ、書籍の章としてスペイン語で執筆し、翌年度出版予定であるとともに、他の調査の解析に関して学術論文として準備中である。 在外研究で滞在していたWageningen大学で、本研究に関連して、3本の修士論文が提出された。
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