研究課題/領域番号 |
21J20179
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
東 智範 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | Haptista / Plastid evolution / Organellar DNA |
研究実績の概要 |
今年度は、ハプト藻類の葉緑体機能(ゲノムの複製・転写・翻訳、代謝、膜上の透過装置)を解明することを中心に研究を行った。加えて、有中心粒太陽虫1種から抽出したDNA・RNAに対して、それぞれゲノムシーケンス及びRNAシーケンスを行った。その後、ゲノムシーケンスの結果に基づいて得られたゲノムシーケンスデータから、オルガネラDNAの検出を試み、下記2の結果を得た。 1.陸上植物や不等毛藻類の核で発現し葉緑体へと輸送されるタンパク質の配列と相同性の高い配列を、既報・未発表併せて18属30種のハプト藻類のゲノムデータもしくはトランスクリプトームデータから検出した。その後、検出された配列が「葉緑体に輸送されるために必要なシグナル」をもつかどうかを、SignalPとTargetPを用いて推定した。これにより、ハプト藻類の核で発現し葉緑体に輸送されると考えられるタンパク質配列を検出した。これらのタンパク質と、既報のハプト藻類の葉緑体ゲノムにコードされているタンパク質の両者の機能を考慮することにより、ハプト藻類の葉緑体機能を推定することができた。 2.有中心粒太陽虫1種のゲノムシーケンスデータから、近縁種のオルガネラゲノムの配列と相同性の高い配列を探索した。その結果、有中心粒太陽虫のオルガネラDNAと考えられる断片配列を検出することができた。 また、上述の2点の研究成果に加え、本研究の着想に至った仮説を提唱している「不等毛藻類における葉緑体獲得過程」について述べた投稿論文が学術誌に受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、ハプト藻類の葉緑体機能を推定することができた。また、有中心粒太陽虫1種のゲノムシーケンスデータから、オルガネラDNAと考えられる断片配列を検出することもできた。さらにこれら2点に加え、有中心粒太陽虫1種から抽出したRNAに対するRNAシーケンスを前倒して行うことができた。従って、当初の研究計画と照らし合わせると、現在のところおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、有中心粒太陽虫が「葉緑体を保持している」「葉緑体をかつてもっていた、現在は保持していない」可能性について検証を行う。これらは、有中心粒太陽虫が「核で発現し葉緑体に輸送されるタンパク質を保持している」「かつては葉緑体に輸送されていたものの、現在は異なる細胞区画に輸送され機能しているタンパク質を保持している」のかどうかを調べることによって、それぞれの解を得ることができる。いずれの検証においても、前年度に得たハプト藻類の葉緑体機能(ゲノムの複製・転写・翻訳、代謝、膜上の透過装置)に関わるタンパク質配列と有中心粒太陽虫1種のトランスクリプトームデータを用いる。 まず、有中心粒太陽虫が「葉緑体を保持している」可能性について検証する。3種の有中心粒太陽虫のトランスクリプトームデータと前年度に得たトランスクリプトームデータから、ハプト藻類の葉緑体機能に関わるタンパク質配列と相同性の高い配列をそれぞれ検出する。その後、SignalPとTargetPを用いて、検出された配列が「葉緑体に輸送されるために必要なシグナル」をもつかどうかを推定する。これにより、有中心粒太陽虫が葉緑体を保持しているかどうか、また、保持していた場合にどのような葉緑体機能を有しているのかを調べる。 次に、有中心粒太陽虫が「葉緑体をかつてもっていたが、現在は保持していない」可能性について検証する。上記と同様のプロセスで得られるハプト藻類の葉緑体機能に関わるタンパク質配列と相同性の高い有中心粒太陽虫の配列に対して、個々に分子系統解析を行う。これにより、有中心粒太陽虫が「かつて葉緑体に輸送されていたタンパク質」を保持しているかどうかを解明する。 その他、本年度・次年度の実験・解析に必要な生物の培養、その他分子生物学実験に必要な消耗品の購入を行い、各年に速やかに実験・解析に取り組めるように適宜準備を行う。
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