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2021 年度 実績報告書

合理的分子設計で拓く環状ポリマーの精密合成と物性解明

研究課題

研究課題/領域番号 21J20558
配分区分補助金
研究機関京都大学

研究代表者

窪田 博之  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2024-03-31
キーワードトポロジー / ジビニルエーテル / マレイミド / ラジカル重合 / 環化重合 / 交互共重合 / 環化ポリマー / ガラス転移温度
研究実績の概要

当特別研究員はこれまで,スペーサーにgem-ジメチル基を導入したジビニルエーテルモノマーを設計することで,置換基効果に基づく効率的なカチオン環化重合並びに環拡大カチオン環化重合による直鎖状環化ポリマー並びに環状環化ポリマーの合成を達成し,そのユニークなトポロジーに特有の熱物性を明らかにしてきた。今年度は,このジビニルエーテルにマレイミド類をコモノマーとして組み合わせた交互ラジカル環化共重合を行うことで,交互配列と縮環構造を有する交互環化ポリマーというこれまで合成例の少ないユニークな構造を有するポリマーの合成を達成した。両モノマーの濃度や仕込み比を調整することで環化構造や交互配列をそれぞれ制御し,さらに適切な連鎖移動剤を組み合わせることで生成ポリマーの分子量制御やマレイミドの逐次添加によるワンポットでのトリブロック交互環化ポリマー合成にも成功した。本ジビニルエーテルとマレイミドの共重合により生成した交互環化ポリマーのガラス転移温度はマレイミドの置換基によって幅広く調節することが可能であり,特にエチル基といった短い置換基を持つ場合には主鎖に含まれる縮環構造に由来する剛直性が顕著に表れるためか,Fox式から予測される値よりも圧倒的に高いガラス転位温度を示すことを明らかにした。本研究成果は高分子化学分野において権威ある雑誌である”Macromolecules”に審査員からの高い評価をもって受理され,カバー論文にも採択された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当特別研究員がこれまでに行ってきたジビニルエーテルのカチオン環化重合・環拡大カチオン環化重合による直鎖状・環状環化ポリマー合成で得られた知見をベースとして,今年度はこのジビニルエーテルにコモノマーとしてマレイミド類を組み合わせた交互ラジカル環化共重合へと展開し,交互配列と縮環構造を有する交互環化ポリマーという合成例の少ないユニークな構造を持つポリマーの合成を達成した。本研究成果は高分子化学分野において権威ある雑誌である”Macromolecules”に受理され,カバー論文として採択されたため大きなインパクトを与える成果であると考えられることから,現在までの進捗状況はおおむね順調であると言える。

今後の研究の推進方策

ジビニルエーテルを用いたポリマー合成に関して,3種類の特徴的なトポロジカルポリマー(直鎖状環化ポリマー,環状環化ポリマー,交互環化ポリマー)の合成を達成することができた。今後はこれまで明らかにしてきた基礎的な熱物性に加えて,レオロジー特性などの物性や機能についても評価を行っていきたいと考えている。
今年度は上記に加えて,光で脱保護可能なオルトニトロベンジル基を側鎖とするビニルエーテル(oNBVE)類を用いた環状ポリビニルアルコールの合成に向けても検討を行い,3種類のoNBVE類の設計・合成,リビングカチオン重合性の確認,比較的高い光変換性を確認した。今後は,反応溶媒や温度,照射光の波長や強度といった光変換条件を検討することで,定量的な側鎖変換を目指す。また検討の中で,oNBVE類が光分解性ポリマーの合成にも有用であることがわかってきたため,光分解性環状ポリマーや光トポロジー変換性環状ポリマーの合成も視野に入れながら引き続き研究を進めていく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Precise Syntheses of Alternating Cyclocopolymers via Radical Copolymerizations of Divinyl Ether with N-Substituted Maleimides2022

    • 著者名/発表者名
      Kubota Hiroyuki、Ouchi Makoto
    • 雑誌名

      Macromolecules

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1021/acs.macromol.2c00172

    • 査読あり
  • [学会発表] ジビニルモノマーの環化重合による多様なトポロジカルポリマーの合成と特異物性2021

    • 著者名/発表者名
      窪田博之,大内誠
    • 学会等名
      第70回高分子学会年次大会
  • [学会発表] ジビニルエーテルとマレイミドのラジカル共重合による特異形態を有する交互環化ポリマーの精密合成2021

    • 著者名/発表者名
      窪田博之,大内誠
    • 学会等名
      第70回高分子討論会
  • [学会発表] ジビニルエーテルの精密環化重合:環化ポリマーのトポロジーと配列の制御に基づく特異物性2021

    • 著者名/発表者名
      窪田博之,大内誠
    • 学会等名
      第11回CSJ化学フェスタ2021
  • [学会発表] Syntheses of unique topological polymers by ring-expansion cationic polymerization of designed vinyl ether monomers and the topology-driven propertie2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Kubota, Makoto Ouchi
    • 学会等名
      Pacifichem 2021
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28   更新日: 2023-08-01  

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