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2022 年度 実績報告書

光応答性分子の創製を指向したカルコゲノアミド含有ペプチド合成法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 21J21397
配分区分補助金
研究機関京都大学

研究代表者

村上 翔  京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2024-03-31
キーワードフォトレドックス触媒 / 脱保護 / チオール / アルコール
研究実績の概要

可視光レドックス触媒を用いる分子変換は、反応系中で基質の酸化と還元を同時に行うことの出来る魅力的な手法であり、近年では既存の保護基の新規脱保護法が開発されている。例えば今までに1,3-ジチアンやベンジルアルコール類の脱保護に適用されており、注目を集めている。このような背景の中、我々はトリフェニルメチル基 (トリチル基)に着目した。トリチル基は、核酸、ペプチド、糖化学を始めとした現代有機化学においてチオールやアルコールを保護するために頻用される保護基であり、通常酸性条件下に付すことで生じるトリフェニルメチルカチオンの安定性を利用して脱保護出来ることが知られている。そこで我々は、この安定カチオンの性質を利用することで可視光レドックス触媒により中性条件下でトリチル基の脱保護が可能であると考えた。
【結果】トリチル保護されたチオールを用いて種々検討を行ったところ、アクリジニウム触媒存在下DCM中青色LEDを照射するのみで脱保護が進行し、ジスルフィドが高収率で得られることがわかった。また、より高い酸化力を有するトリフェニルピリリウム塩触媒を用いることで、同様の条件でトリチル保護されたアルコールも効率的に脱保護が進行することを見出した。本反応は様々な官能基を有する基質にも適用が可能である。さらに光触媒存在下可視光を照射することで、固相上に担持したトリチル基から目的の化合物を切り出すことも可能であることを見出した。本反応は系中で生成するトリフェニルカチオンが触媒を再酸化するため、当量の添加剤を必要としない非常にシンプルな反応系である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度開発したフォトレドックス触媒系を用いた脱保護法は、ペプチド、糖、核酸化学においてアルコールやチオールを保護する際に頻用されるトリチル基を中性条件で温和に脱保護出来ることから非常に有用である。今後は、トリチル保護されたシステインを有する基質の環化反応などへの応用が期待される。

今後の研究の推進方策

前報で探索した単体硫黄のフォトレドックス触媒系を用いた活性化法を用いた硫黄含有化合物合成を検討する。特にチオペプチドへの応用を指向して、C末端にアルキン、N末端にニトリルを有するペプチド基質を用いたチアゾール環化形成反応を検討すする予定である。課題としてアルキンとニトリルという反応性の低い基質を用いるため、アルキンの一電子酸化を起点として生じたビニルラジカルカチオン中間体に対するニトリルの付加を中心に反応検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] Max-Planck-Institute(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Max-Planck-Institute
  • [雑誌論文] Photocatalytic Cleavage of Trityl Protected Thiols and Alcohols2023

    • 著者名/発表者名
      Sho Murakami, Cosima Brudy, Moritz Bachmann, Yoshiji Takemoto, Bartholomaeus Pieber
    • 雑誌名

      Synthesis

      巻: 55 ページ: 1367-1374

    • DOI

      10.1055/a-1979-5933

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] トリチル保護されたチオールおよびアルコールの光触媒系による脱保護反応の開発2023

    • 著者名/発表者名
      村上 翔,Brudy Cosima,Bachmann Moritz,竹本 佳司,Pieber Bartholomäus
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会

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公開日: 2023-12-25  

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