当該年度は,「観測と理論による降着円盤不安定性モデルの拡張 ---矮新星大統一理論を目指して」をテーマとする研究課題の最終年度にあたる3年目である。本年度は1報の主著論文と3報の共著論文がが査読あり国際誌から出版され,また,2件の国際学会を含む計8件の学会発表を行った。 主著論文では,我々の研究グループが主導する国際的変光星観測ネットワークであるVSNETを通じて観測したデータを用いて,矮新星V627 Pegで観測された2021のアウトバーストの詳細な観測報告と,同一天体の過去2回のアウトバーストの特徴を比較した。その結果,3回のアウトバースト間で見られた多様性の由来として静穏期の降着円盤構造が大きな影響を与えている可能性を明らかにした。 2023年6-9月には日本学術振興会若手研究者海外挑戦プログラムを利用し,イギリス・サウサンプトン大学に滞在しKnigge教授とともに共同研究を実施した。 また,イタリアで開催されたThe Golden Age of Cataclysmic Variables and Related Objects VI,タイで開催されたEast Asian Young Astronomers Meeting 2024に参加・発表し,現在進めている激変星に付随する円盤風に関する研究成果について議論した。 3年間の特別研究員DC1の期間では,合計4報の国際誌査読あり論文を出版し,また2件の招待講演を含む20件の学会発表を行なった。
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