研究課題/領域番号 |
21J22490
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 竜馬 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | グラフニューラルネットワーク |
研究実績の概要 |
本年度の主な研究成果は (1) グラフニューラルネットワークの表現能力に対する理論研究についての論文を国際学会で発表 (2) グラフニューラルネットワークの高速化の理論についての論文が国際学会誌に採択 (3) そのほか、推薦システムや最適輸送などグラフと関連のある機械学習技術について国際学会に採択・発表の三点である。 (1) グラフニューラルネットワークには本質的に識別できないデータが存在することが知られていた。本研究では、ランダム特徴量を追加するという非常に簡便な手法により識別できるデータや解決できる問題のクラスを飛躍的に増加させられることを理論的に実証した。この論文を SIAM International Conference on Data Mining という国際学会で発表した。 (2) グラフニューラルネットワークの高速化は盛んに行われているが、理論保証のある手法はいずれも手法も少なくとも線形時間がかかり、超大規模な入力には対処できなかった。本研究では、入力サイズに依らない定数時間でグラフニューラルネットワークを動作する方法を提案しその実行時間と精度について理論解析を行った。この論文はデータマイニングについての国際学会紙である ACM Transactions on Knowledge Discovery from Data に採択された。 (3) 推薦システムと情報検索の公平性についての研究が 3 件国際会議に採択された。そのうち Private Recommender Systems: How Can Users Build Their Own Fair Recommender Systems without Log Data? という論文では、推薦グラフと呼ばれるグラフ上でランダムウォークを行うアルゴリズムを用いて、公平な推薦アルゴリズムの適用範囲を広げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際会議に 1 本とジャーナルに 1 本研究成果を発表し、グラフニューラルネットワークの理論解明に大きく貢献することができた。特に、SIAM International Conference on Data Mining で発表した Random features strengthen graph neural networks という論文については、現段階で 52 件の被引用があり、作成したデータセットも他の研究者に利用され、コミュニティーに貢献できているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
以前に行った Approximation ratios of graph neural networks for combinatorial problems という研究と Random features strengthen graph neural networks という研究によって、グラフニューラルネットワークの表現能力については一段落したと考え、以降は高速化の方法および、推薦システムなど応用ドメインにおける理論保証や応用方法について考えていきたい。
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