研究実績の概要 |
当該年度においては、DNAのCAGリピート配列に特異的に結合するピロールイミダゾールポリアミド(PIP)とDNA鎖の複合体についてのX線結晶構造解析の研究を進めた。異常伸長したCAGリピート配列はトリプレット病の原因となることから関連研究が盛んに行われている。今回用いたPIPはこの配列に特異的に結合し、たんぱく質形成の阻害などを行える可能性があることから注目されている。しかし、未だに原子レベルでの結合様式の解析・理解が進んでいないことから、PIPのDNAへの非特異的な結合も生じてしまっている。これら理解を深め、新しい様式のPIPや振興分子の開発へと繋げるためにCAGリピート配列を含むDNA鎖とPIPの複合体の構造解析を進めてきた。現段階では、結晶化条件の最適化を行い、得られた結晶より、2.8 Å程度の分解能のデータを得ることに成功している。 また、DNAオリガミ構造体を用いたCas-9の活性制御についての研究について成果をまとめたうえで査読付きの国際雑誌に投稿し、掲載が決定された(Chem. Commun., 57, pp. 5594-5596, 2021)。加えて、その成果について国際学会であるISNAC2021にてポスター発表を行った。 更に昨年度は、シリカナノ粒子をベースとしたプローブ作成についての研究を開始し、スイスのOA research instituteとの共同研究を行っている。またこのテーマについてJSPS主催の"YOUNG RESEARCHERS’ EXCHANGE PROGRAM BETWEEN JAPAN AND SWITZERLAND 2021"に応募し、採択された。 このように幅広い分野の研究を行い、国際的な関係も構築されている。
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