研究課題/領域番号 |
21J22787
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大平 純一朗 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / αシヌクレイン |
研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)は凝集したαシヌクレイン(αS)を主成分とするレビー小体の形成とドパミン神経細胞死を病理学的特徴とする進行性の神経変性疾患である。凝集αSの蓄積は迷走神経背側核や嗅球から始まり連続的に進展し、中脳黒質に至るとドパミン神経細胞死を来して運動症状を引き起こすと考えられている(Braak仮説)。運動症状が出現して診断に至った時点でドパミン神経は既に50%以上減少していることが判明しており、疾患修飾療法を開発するためには運動症状出現前の前駆期病態を忠実に反映したモデル動物の作製が必要である。しかし、前駆期から発症に至るパーキンソン病の全自然史とその病態を忠実に再現しているモデルは未だ存在しない。申請者らが作製したαS遺伝子改変マウスはαSの発現上昇を反映した前駆期PDモデルだが運動障害は認めず、消化管へαS凝集体を投与したモデルでも伝播は限局的で、PD全自然史の再現にはαS凝集体の最適化や環境因子付加が必要と考えられた。①αS凝集体の違いが伝播能を規定する、②腸管(末梢)の炎症がαS病理(中枢)の進展に関与する、これらの可能性を検証してきた。①に関して、αS凝集体を伝播モデルで使用するためにはsonicationにより細かくする必要があることが知られているが、凝集体の大きさによって伝播能がlinearに変化することがわかった。②については、上記前駆期PDモデルマウスに自然免疫の賦活による炎症を惹起することで運動症状出現することがわかったが、WTと比較して有意差は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績に記載のように順調に研究を進めているが、検証事項が残存している。 具体的には、①αS凝集体の違いが伝播能を規定する、②腸管(末梢)の炎症がαS病理(中枢)の進展に関与する、これらの可能性を検証してきた。①に関して、αS凝集体を伝播モデルで使用するためにはsonicationにより細かくする必要があることが知られているが、凝集体の大きさによって伝播能がlinearに変化することがわかった。今後、凝集体の大きさによる取り込まれる細胞種の違いや伝播モデルマウスの表現系の変化を検証していく。②については、上記前駆期PDモデルマウスに自然免疫の賦活による炎症を惹起することで運動症状出現することがわかったが、WTと比較して有意差は認めなかった。今後、誘導性腸炎マウスでの検証をしていく。
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今後の研究の推進方策 |
①に関して、αS凝集体を伝播モデルで使用するためにはsonicationにより細かくする必要があることが知られているが、凝集体の大きさによって伝播能がlinearに変化することがわかった。今後、凝集体の大きさによる取り込まれる細胞種の違いや伝播モデルマウスの表現系の変化を検証していく。その後、治療介入により凝集体伝播の抑制や表現系変化の改善を認めるかどうか検証する。②については、上記前駆期PDモデルマウスに自然免疫の賦活による炎症を惹起することで運動症状出現することがわかったが、WTと比較して有意差は認めなかった。今後、DSSによる誘導性腸炎マウスやリポポリサッカライドによる全身炎症モデルでの検証をしていく。
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