今年度は、Stripe 82領域内のX線で検出された z~0.5の活動銀河核(Active Galactic Nuclei ;AGN) における銀河・ブラックホール共進化の研究を完遂した。信頼できる 1 型の母銀河と AGN のパラメータを推定するため、母銀河可視測光データを抽出したカタログ (Li+21) を使用した。1 型 AGN におけるブラックホール質量 (MBH) と星質量 (Mstellar) 比の平均は log(MBH/Mstellar) = -2.7 ± 0.5 であり、近傍宇宙 (z- 0) における MBH-バルジ質量比に近い。この比は z~1.5 における全波長光度の大きい (log Lbol > 45) 1 型 AGN に対してやや小さく、この結果は log(MBH/Mstellar) の光度依存性によって説明され、赤方偏移依存性は小さいことを解明した。1 型と 2 型は、同一の Lbol の範囲では似た Mstellar 分布を持ち、一方で Lbol は 1 型より小さいことが分かった。この結果は、Lbol もしくは λEdd に依存するAGN統一描像を示唆している。 また、X線衛星Swift/BATかつ電波干渉計ALMAで検出された最近傍宇宙(<100Mpc)のBASS (BAT AGN Spectroscopic Survey) AGN 31天体(41.4<log Lx<43.4)について解析した結果、BASS サンプルはStripe82 領域サンプル(z~0.5)とSXDS領域のサンプル(z~1.5; Setoguchi+21)を統合解析した線形回帰の関係に概ね沿い、log(MBH/Mstellar) は光度の依存性が大きいという結果を支持し、低光度・近傍と高光度・遠方のAGNが異なる種族という有意な証拠は得られなかった。
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