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2023 年度 実績報告書

畏敬が自己認知に及ぼす影響ー心理・神経・生物学的基盤の検討ー

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1734
配分区分基金
研究機関京都大学

研究代表者

澤田 和輝  京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワード畏敬 / 自己認知 / 創造性 / 好奇心 / 芸術鑑賞 / インスピレーション / 縦断調査
研究実績の概要

主には以下の二件の研究成果を得た.
1.大自然の絶景や芸術作品のように,広大かつ既存の枠組みで捉えることが困難な刺激に対して生じる感情反応は「畏敬」と呼ばれており,近年心理学を中心に注目を集める重要な研究テーマの一つである.畏敬が創造的自己認知に及ぼす影響を解明するため,本年度も昨年度から継続して縦断調査を実施した.調査では,3時点を通して4ヶ月間隔で304名の人々(18歳から30歳)が,日常生活で畏敬を感じる頻度(項目例:“私はよく畏敬の念を感じる”,“私は自然の美しさを見る機会が多い”),知的好奇心(項目例:“はっきり明快な答えが出るまでずっと考える”,“物事を学ぶ時には,徹底的に調べたい”),創造的自己(項目例:“私は,自分のことを創造的だと思う”,“私は自分の創造的な能力に自信がある”)を測定する質問項目に回答した.ランダム切片交差遅れモデルを用いて,各変数の個人内関係を分析したところ,ある時点の畏敬の念を感じる頻度が次の時点の自分が創造的である自信を正に予測することが示された.本研究の結果は,創造性の観点から畏敬経験における自己認知の変容の理解に寄与するとともに,個人内変化の観点から畏敬の念が創造的自己効力感を高めうることを新たに示す.
2.畏敬と創造性に関連して,芸術鑑賞による畏敬の念と創造的活動に対する動機づけである「インスピレーション」の関連を検討する実験室実験を実施した.実験では,大学生32名が,絵画を鑑賞した後にその絵画の創造的短編を執筆し,執筆中にインスピレーションを感じた程度や鑑賞中に畏敬を感じた程度や自己評定した.その結果,畏敬の念を感じる人々ほど,インスピレーションを感じやすいことが示された.本研究の結果は,動機づけの観点から畏敬の念が創造性を促進する心理過程の解明に寄与すると考えられる.これらの研究成果をまとめた論文がJournal of Creativity誌に掲載された.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Appreciation processing evoking feelings of being moved and inspiration: Awe and meaning-making.2024

    • 著者名/発表者名
      Sawada, K., Koike, H., Murayama, A., Nishida, H. & Nomura, M.
    • 雑誌名

      Journal of Creativity

      巻: 34(1) ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.yjoc.2024.100076

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 畏敬の念,知的好奇心,創造的自己に関する縦断的検討ー潜在変化モデルを用いた検討ー2023

    • 著者名/発表者名
      澤田和輝・野村理朗
    • 学会等名
      日本認知心理学会第21回大会
  • [学会発表] 芸術鑑賞による感動が触発に及ぼす影響ー美しさの知覚,畏敬の念,意味生成の観点からー2023

    • 著者名/発表者名
      澤田和輝・小池光・村山新・西田帆花・野村理朗
    • 学会等名
      日本認知科学会第40回大会

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公開日: 2024-12-25  

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