研究課題/領域番号 |
21J23266
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浅岡 由衣 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 行動嗜癖 / 窃盗症 / 性嗜好障害 / 情動 / 条件づけ学習 / ドーパミン |
研究実績の概要 |
研究の成果・状況 本年度は、新型コロナウイルスの影響ならびに、共同研究者の医師の異動(病院を辞職し個人クリニックを開設)により、予定していた実験を行うことができなかった。そのため、以前取得した実験データの解析や、研究発表、論文の執筆を行った。これまで行ってきたような、病院での入院患者を対象にした研究を再開できる見通しが立たないため、元々ドイツで予定していた健常者を対象にした研究を拡大して行う予定である。 本研究の全体像 本研究では、行動嗜癖の認知・情動的特徴ならびに脳神経基盤の解明に向けて、1.現実的環境下における嗜癖行動の統合生理学的研究、2.物質に対する嗜癖と行動に対する嗜癖の比較検討、3.非侵襲的頭蓋内刺激と薬理学的操作による行動嗜癖の神経メカニズムの研究を行う。 行動嗜癖を理解するためには、異なる症状の行動嗜癖を比較検討することが重要であるが、窃盗症や性嗜好障害に関する研究事例は国内外を問わず非常に少ない。本研究ではこれら先行研究が少ない症状の行動嗜癖を対象に研究を行い、すでに知見があるギャンブル障害などの特徴と比較をすることで、行動嗜癖の性質の全容を明らかにする。 インターネット、オンラインゲーム、スマートフォンなど新しいテクノロジーの開発、発展により、今まで存在しなかった新しい精神障害としての行動嗜癖が社会問題として現在、注目されはじめており、今後、我々が解決すべき最重要課題の1つとなることは間違いない。したがって、行動嗜癖の認知・情動的特徴ならびに脳神経基盤の解明は多大な社会的インパクトを与える先駆的な研究になり得ると考えられる。また将来的に、DSM-5やICD-11といった現行の精神障害診断マニュアルの改訂が再度行われる際には、現在は衝動制御障害に分類されているものが嗜癖として分類されるべきなのかどうかといった議論に重要な知見を提供できるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響ならびに、共同研究者の医師の異動(病院を辞職し個人クリニックを開設)、研究所の解体に伴う指導教員の異動により、予定していた実験を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
病院での入院患者を対象にした研究を再開できる見通しが立たないため、元々ドイツで予定していた健常者を対象にした研究を拡大して行う予定である。また、オンラインで完結できる実験システムを視野にいれ、窃盗症や性嗜好障害に拘らず、研究を推進する。
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