研究実績の概要 |
本研究は、金属錯体多面体(以下MOPs)を「空間単位」として定義し、リンカー分子との自己集合によって構築される階層構造(金属錯体ソフトマテリアル、以下MOSOM)の創出とその機能開拓を目的とする。その課題は、(1) MOPを構成する多座配位子とMOPを連結するリンカー配位子のライブラリ拡張を通じた階層構造パラメーターの解明、(2) 配位活性金属イオンを1次構造分子とする多彩なMOSOMの創出である。本年度は、課題1と2に対して、新規MOPsの合成と構造同定、ならびに物性機能の一つとしてガス吸着能の評価を中心に研究を進めた。 課題1に関して、前年度に合成した、12個のカルバゾールジカルボン酸(以下, HCz)からなる八面体型ロジウムMOP(HCzRhMOP)の表面に12個のベンジル基を導入した構造に対応する、9-ベンジル-9H-カルバゾール-3,6-ジカルボン酸(BnCz)からなる八面体型ロジウムMOP(BnCzRhMOP)を新たに合成した。さらに、MOP合成の段階でHCzとBnCzを混合して反応させたことで、MOP 1分子上に導入されているベンジル基の数を1,3,6,9,11個にそれぞれ調整したHCz/BnCz混合MOPを合成した。一連のHCzRhMOPとBnCzRhMOP、そしてHCz/BnCz混合MOPを用いてガス吸着能を評価した結果、MOP表面に導入されたベンジル基の数が増えれば増えるほど、ミクロ孔へのガス吸着能は線形に低下することを見出した。 課題2に関して、前年度に合成したジベンゾ[b,d]チオフェン-2,8-ジカルボン酸とロジウム二核パドルウィール錯体からなる八面体型ロジウムMOPの金属イオンをルテニウム二核錯体に置き換えた新規八面体型ルテニウムMOPを合成し、単結晶X線構造解析により構造同定した。
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