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2023 年度 実績報告書

ひきこもり現象における自立観の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ1797
配分区分基金
研究機関京都大学

研究代表者

桑原 啓  京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワードひきこもり / ひきこもり傾向 / 自立 / 自己開示 / 不登校 / 相互行為 / 移住 / 労働
研究実績の概要

2023年度はひきこもり経験者や生活困窮者が生活している非営利法人傘下のシェアハウスを中心にフィールドワークを行い、そこでの生活の様子を記述してきた。また、インタビューを通じて、そうした人々の意味世界への接近を試みてきた。その結果、特にひきこもり経験者にとって、地元・親元での生活は、ひきこもりや不登校経験ないし、それに付随した排除的な経験(例えば、どうして働けないのかといった叱責)を常に意識せざるを得ないものとなっていた一方、地元・親元を離れた地域での生活は、そうした精神的な負担を少なからず軽減したものとなっていた。特に、不登校経験と関連して、ひきこもり経験者は地元で生活していると同級生のまなざしを意識せざるを得ず、自身の不登校経験を知られていることへの苦痛を語っていたのに対し、移住後の地域では、地域住人に対して不登校経験を自己開示するなど、深刻なスティグマ化は見られなかった。これについては、リアルタイムに不登校経験を確認されたという感覚と、過去の出来事として不登校経験を知られるという感覚との間には、重大な差異があると言えた。そして、これをもって、リアルタイムの相互行為の水準で負の経験を把握すべきだということを見出し、ひきこもり経験者には地元・親元を離れることをめぐって、一定の潜在的ニーズがあることを発見した。
また、これまでの研究期間全体を通じた研究成果については、最終的に2つの施設でフィールドワークを行ったが、いずれの施設においても、労働や仕事という要素が実践に取り入れられていた。そして、両施設の実践は、労働や仕事といった状況の定義からの「ずらし」を行い、居場所や地域の困りごとの解決といった別の要素を付与するようなものとなっていたことを見出した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ひきこもり経験者が地元・親元を離れることの考察2024

    • 著者名/発表者名
      桑原啓
    • 雑誌名

      フォーラム現代社会学

      巻: 23 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ひきこもり現象をめぐる包摂と排除――ひきこもり傾向の概念分析2023

    • 著者名/発表者名
      桑原啓
    • 雑誌名

      福祉社会学研究

      巻: 20 ページ: 147-171

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地域ネットワークの形成と支援実践――社会関係資本を用いた質的分析2023

    • 著者名/発表者名
      桑原啓
    • 雑誌名

      生活指導研究

      巻: 40 ページ: 27-41

    • 査読あり
  • [学会発表] ひきこもり経験者の地域間移動――移住前後の他者関係に着目して2023

    • 著者名/発表者名
      桑原啓
    • 学会等名
      第74回関西社会学会大会

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公開日: 2024-12-25  

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